水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

備中松山城 大池(岡山県備中高梁)

【首洗いの池 / 血の池】

雲海に包まれた備中松山城。奥の横尾根の手前の稜線上に大池がある(2022年10月撮影)

雲海に浮かぶ至宝の山城には、もうひとつのお宝が

備中松山城は雲上の天険に守られた要害として、お城ファンの間でも圧倒的な人気を誇る。
本丸から臥牛山の尾根伝いに奥へと進むと、天神の丸跡、中世城郭の大松山城跡へとつづく。さらにその少し奥、標高445メートルの稜線鞍部に俗称「血の池」「首洗いの池」、正式名「大池」という総石垣造の城池が稜線鞍部にある。平成の発掘調査でダム式の堤構造と木樋を持つ周囲長70mクラスの池であることが分かった。城郭内の貯水池としては日本最大。

日本最高標高の現存天守閣

標高430mの臥牛山小松山頂に現存する天守は重要文化財(国宝)に指定。国内でもっとも標高の高いところにある城郭でもある。(比高差370m)
雲海に浮かぶ城郭の光景を狙う写真家が、夜明け前から三脚の林を作るほどの人気。兵庫県朝来の竹田城、福井県越前大野の大野城と並び日本三大「雲海山城」といえそう。
山城としての現存天守閣は国内唯一。


2013年撮影

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城郭の貯水池として日本最大

総石垣造りの垂直護岸

護岸の石垣は垂直で高さがあるのが印象的。谷を堰く堤の方は土盛りで堤高5〜10mほどか。


驚きの立地

臥牛山の山頂わきにあり、集水しそうな地形にはとても見えない。


流れ込みは不明瞭・井戸との関係は?

湧水ポイントがあるのか不明。ただ流れ込み側にポケットのような石垣構造あり。
より高所にある大松山城の古井戸と水源に関係がありそうにも思うが、学術的にもまだ解明されていない。

池には屋根が架けられていた?

総石組みで作られた人造池であるが、山城の生命線である池の水が枯れぬよう屋根がかけられていたとの記録も残る。
また、清掃用の舟が常時浮かべられていたとも。

「日本三大山城池」と言いたい

規模や保存状態、見ごたえ、歩きごたえなど、山城の城池として、金山城の日ノ池(群馬県太田)、洲本城の日月の池(兵庫県洲本)と並び「日本三大山城池」といってもよさそうに思う。

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在所は中世城郭の大松山城内

備中松山城の奥にはオリジナルの城ともいえる中世城郭の大松山城があり、大池はその城郭内にある。この城は相模三浦党の系譜で鎌倉幕府御家人の秋葉氏が承久の乱後に開城。

大松山城の井戸

水源として利用されていたと思われるが、大池との関係は学術的にも不明らしい。
GPSでは大池よりもこの井戸の開口部の方が25mも高い。


 

吊り橋と雲海のダム

吊り橋側からのアクセスもできる

大池の吐き出し側は谷になっており歩行者専用の吊り橋が架けられている。

雲の放流?

この場所は条件がそろえば雲海のダムから雲が放流されているような光景を見ることができた。備中松山城 大池のもうひとつの魅力にふれた気がした。近日中に動画を公開したい。

雲海のダムの大放流のような状態。放流口の右岸側に大池がある。よく見ると池が見える。左下は放流前のオーバーフローしそうな状態。右下は放流終了時。わずか10分ほどのスペクタクルだった


 

ニホンザルがの天然記念物

城がある臥牛山に生息するニホンザルは国指定の天然記念物に指定されている。



 

現地案内板と案内マップ




 

ふいご峠からの景観

備中高梁の市街地をみおろす

城見橋駐車場近辺をみおろす



 

備中松山踊り

備中松山踊りは岡山県三大祭りのひとつ。


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駐車場とマイカー規制

城見橋公園、ふいご峠に無料駐車場。ふいご峠駐車場は敷地が狭いため、シーズン中はふいご峠までは一般車規制でシャトルバスを利用。ふいご峠から本丸までは遊歩道あり。備中松山城本丸には入場料が必要。




 

Googleマップ