水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

金山城 日ノ池(群馬県太田)

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天空のパワースポット池

太田の町を見下ろす標高235mの金山に造られた山城、金山城。
その中枢部・本丸の中に位置し、城の生活を支えた用水池が日の池である。直径15mほどのきれいな円形の池で、石垣で護岸されている。
本丸の入口にある月ノ池も同じく円形の石垣護岸の池であるが、こちらの方が大きい。日本中の山城を見てきたが、これほど、おおっというパワーを持った城池はそうそうはない。まさに難攻不落を支えてきたオーラがみなぎっている。

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地形と構造

古くからの雨乞い神事の地

低山の部類に入る小さな山の頂上部の池としては、規模も大きく水量が安定している。
水源涵養林はなく、さしたる集水域は見あたらず、天水のロスを極力減らした上で最大限の活用をしているものと思われる。
城郭が造られる以前から池は存在したらしく、平安時代の雨乞い神事の痕跡も見られるという。

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石敷と石累と水路

フラットな棚田状に造成された頂上本丸エリアは、中世城郭としては異例なほど石累と石敷が充実している。よく見ると石敷のあちこちには小さな水路がセットされている。復元されたものなので、どこまでが往時の姿なのか、あるいは改修をくり返しながら延伸してきたものかもしれないが、現代の都市が洪水を招きやすくなっている構造を逆手にとったような方法で、頂上部に降った雨水を逃がすことなく日の池に集水するように計算されていたような意図を感じる。

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水路が掘り込まれた石段

石敷の底と段構造

訪れた際、やや減水状態にあったことから底がうっすらと見えたが石を敷きつめてあった。これは往時からの構造とのことである。
また二重の垂直護岸の石垣に囲まれているが、これは貯水キャパシティを上げるためだけでなく、湛水面に近づいて水を汲み上げるための利便性を考慮したもので、古くからの井戸掘りの技法であった「まいまいず井戸」に通じるものがある。

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井戸

水汲みの利便性のため、池には二基の井戸と閉鎖された通路が付随する。通路は池底と通じているため改修時に使ったものと思われるが、水路の可能性は?

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金山の大ケヤキ

樹齢800年。城郭の盛衰を目の当たりにしてきた七本のうち、今も立っているのは一本だけ。

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同名類名の池

淡路島の洲本城の城池に、日月の池という池がある。
新潟県の八海山頂上近くには、日の池、月の池という山池もある。
アクセスは徒歩。登城口というか登山口に駐車場あり。

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マークした場所は駐車場。