水辺遍路

実踏・日本の湖沼 8,300湖

八重山諸島の島池さんぽ(沖縄県)

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離島ターミナルのある港町を拠点に、個性豊かな島池めぐり

八重山諸島は、東京〜福岡間のおよそ二倍の2,000km! 沖縄本島からでも400kmも離れている日本最西端かつ最南端の島々。
八重山諸島の拠点となるのは石垣島。与那国島への空路および離島海路の起点になっており、西表島をはじめ各離島のツアーやアクティビティの情報も入手できる。
意外にも宮古島は八重山諸島に含まれていない。地形も異なる。山のない宮古諸島と違って、八重山諸島は沖縄県最高峰を含む標高500m超級の山地を持つ。特に西表島は島のほとんどが未開の山岳。太古の自然が残り、ジャングルに囲まれた秘池もある。
波照間島では日本最南端の池、与那国島では日本最西端の池にも会える。

このエリアにおける池の見どころ

離島独特の循環利水ネットワークに注目すると、いろいろ見えてくるものがある。
畑の各所に給水栓とコンクリート水路がめぐらされている。
水路の流末には掘り込み式の池が、海や川に流れ出す一歩手前で待ち構えている。これが貯水池の場合はポンプで配水池(ファームポンド)へと送る。
一方、揚水機場が付属していない小型の掘り込み池もある。これは小規模な貯水池の場合もあるが、沈砂池、浸透池であることも。濁流水を受け止め、赤土粒子を沈殿堆積させ、流出を防止する役割。どうりでスロープが標準装備なわけだ。
また生活用水を担ったカー(井戸)が集落内外にある。

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波照間島の沈砂池


 

石垣島・・八重山諸島めぐりの起点

東京など大都市圏からも直行便がある石垣島。空港と町はクルマで30分ほどと離れているが、離島ターミナルのある港町は居酒屋をはじめ飲食店も充実。ファミリーマートもある。
ダムのない宮古島と違って沖縄県で一番高い標高の山に恵まれ、5基のダム湖が上水道、農業の水源になっている。日本最西端、最南端のダムが目白押しだけにダムマニアにとっては気になる存在だろう。なお5基のうち4基は農業用で、農業用ダムでは日本一堤体の長い底原ダムが目を引く。残る1基は上水道を含めた多目的ダム。日本最南端かつ最西端に位置する多目的ダムである。
農業用ダムが豊かな水田を涵養する石垣島では、年に三回収穫する三期作も行われているという。三月には早くも青々と揺れる早稲を見ることができる。
池めぐりには石垣島ならではの先端感と、ざわわな風が味わえるレンタル電動バイクがオススメ。
石垣鍾乳洞の地底湖もなかなかの見ごたえ。

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離島ターミナル近くには釣り具レンタルも
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石垣港離島ターミナル前は夜も楽しい


 

与那国島・・日本最西端

日本最西端の天然湖沼「久部良ミトゥ」が筆頭格の島池。
海岸段丘の台地上に標高200m級の宇良部岳と久部良岳が東西に鎮座し、全長2km程度の小河川が三筋ほどあり、かつては上水道水源としても利用されていた。(現在は地下水と伏流水)
農業はサトウキビが主産業だが、一部、米作も行なっており、掘り込みタイプの貯水池、沈砂池が多いのは南西諸島全般に共通する。
海岸沿いの放牧池に池塘のような池がいくつか見られた。そのいくつかは牛や馬の水飲み場になっているようであった。

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久部良ミットゥ。日本最西端の天然湖沼であり汽水湖


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島の最高峰・宇良部岳から島全体を見渡す。
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波照間島・・日本最南端の有人島

有人島としては日本最南端の島で、島全体が隆起サンゴ礁台地でおもだった山川はない。上水道は海水淡水化施設が生み出しており、高架配水池を経て集落に給水されている。
他島からの海底送水に頼れないため、農業用の貯水池はかなり気合が入っている。掘り込み型としては大型の周囲長500m超級の立派な池の割合が多いほか、揚水機場や沈砂池がセットになったハイスペックが特徴。サトウキビのほか商品作物が栽培されている。
そして日本最南端の池が、この島のどこかに?

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大型で高機能な掘り込みタイプの貯水池が多い波照間島


 

西表島・・島のほとんどは原生林

沖縄県では沖縄本島に次ぐ大きさの西表島。
しかしながら道路は島の東半分にしかなく、西側は広大な未開の原生林が広がっている。その様相はアマゾンを思わせる。

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仲間川

大きな集落とフェリーターミナルは北側の上原と南側の大原。いずれも石垣島から高速船で1時間以内で行けるが、上原航路はしばしば波浪のため欠航となる。
上原側の浦内川と大原側の仲間川が西表島の二大河川。いずれもカヤックツアー、遊覧船が充実。

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浦内川

浦内川に生息する魚種は400種を越え、まさに「東洋のアマゾン」の呼び名に恥じぬ豊かさ。
水に恵まれているだけに水田も所々に広がっており、素晴らしい谷戸タイプの溜め池もあった。ほか、昔の生活を支えた井戸の池も集落内にあり、「川」と呼ばれている。

bunbun.hatenablog.com


 

由布島・・島まるごと水牛パーク

西表島から水牛車に乗って干潟を渡るのが唯一の上陸手段という観光島。
島がまるごと観光施設になっており往復の水牛車の運賃と島の入園料がセット。意外と高いが、西表島観光を秘境ツアー系とお手軽系に分けるなら、後者の筆頭格にある人気スポットである。
上水道は西表島から送水されている。

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竹富島・・テーマパーク化する生活島

1976年に石垣島から海底パイプラインで送水を受けるまでは、島内に20ほど現存する「カー(井戸)」が生命線だった。
ほぼ島自体がまるごと観光地化しつつあるが、生活も営まれている。水牛車が練り歩く島中央の集落、星砂のとれる浜辺も観光客であふれかえり、農業といえば、黒毛和牛の放牧地があるぐらい。
観光客増加による上水道需要の増加に対応するため、石垣島につづき西表島からも小浜島経由で海底送水ケーブルが引かれた。
田畑がないので他島のように農業用の貯水池やファームポンドも見られず、池らしい池は島南端のエビ養殖池ぐらい。
竹富島の池さんぽは「カー」めぐりで、観光スポットとは少し距離を置いたしっとり情緒を楽しみたい。

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竹富島では生活用水のための池が中心。高架配水池とカー(井戸)。


 

黒島・・牛の島

黒毛和牛がもとからいたわけではないだろうが、島民人工よりも黒毛和牛の方がはるかに多い島。
離島ターミナルのある石垣島から高速船で30分ほどの船旅で上陸できる。 島内の道はそれほどアップダウンはないのでレンタルサイクルが安くて便利。
ユニークな池としては、サメが泳ぐ黒島研究所の池がある。


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一般家屋における貯水タンク


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黒島のファームポンド


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渡船と港


 

小浜島・・高級リゾートとちゅらさん

NHK連続テレビ小説『ちゅらさん』の舞台になった島。
島中央の高台に集落があり、その北に標高99mの大岳(うふだき)と西大岳がこんもりと鎮座。
ただ水源になるほどの谷川はなく、隣の西表島から海底パイプラインで水の供給を受けている。
山裾は黒毛和牛のいる牧草地、やや低まったところに掘り込みタイプの貯水池がありサトウキビ畑が広がる。
海岸部、特に東部と北部は高級リゾート化が進む。またゴルフ場をもつ離島でもあり、小浜島行きの渡船はゴルファーが多いのも特徴。
東部の半島にはゴルフ場やリゾート用の池として利用されている池が、はいむるぶし水牛池をはじめ30ほどもある。
島ではクジャクが害獣化し駆除用のワナがあちこちで見られるが、もとは高級リゾートが観賞用に輸入したものだという。

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小浜島の池群


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ワナと捕獲されたクジャク