水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

鷹ノ田の池(山梨県韮崎)

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赤牛伝説をまとった妖しい空気が山にに閉じ込められている。こんな山池に会えたときはゾクゾクする。

レッドブル伝説スピンオフの池

鷹ノ田(たかんた)には、かつては小さな集落や桑畑があったという。
ここには拙著『日本全国 池さんぽ』でも紹介した椹池の赤牛伝説のスピンオフ版みたいな伝説があったが、このスピンオフ池の存在を知ったのは出版後のこと。かなり調べたつもりだったが、さらなる深みにたどり着いたのも偶然である。
なんと、能蔵池を追い出された赤牛が椹池に落ち着く前、ここ鷹ノ田に身を隠していたというではないか。レッドブル伝説を追いかけて幾数年、追いついては逃げられ、本の中でやっとケリをつけたつもりが、偶然立ち現れたこの池でまたも打ち砕かれた。まるで細く入り組んだ水路をあてもなく流されるように、池から池へと新たな低みに落ちていく。
正直にいっておくと、この池が鷹ノ田(たかんた)と特定できたわけでなく、北にも池が二つあり(当ブログでは「鷹ノ田の池下」として掲載)、そちらにもレッドブル滞在の池(ち)の可能性はある。

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吐き出し側のコンクリート補強と、人工の吐き出し設備


鷹ノ田の池は、構造も興味を惹くものがあった。
一見、天然の堰き止め湖かと思ったが、流れ出し側がコンクリートで堤状に補強されている。よく見ると、人工の吐き出し部が設けられ、水路が峠の奥に向かってのびている。
ふつう吐き出しは峠の手前にある。峠の方に向かって流れ出している逆転に頭が混乱するが、これは同じ山脈にある平久保池でも見られた地形的な特徴。
アプローチ路となる林道は入口周辺がダートだが、少し進んだ先からはほぼ全線が舗装された1.5車線。ときどき大型のミキサー車が通るぐらいなので普通車なら問題ない。
道のすぐ横に池があり、簡単に入っていける。気持ちのいい木陰に待避スペースもある。
名称について。
「鷹ノ田の池」の名称は両生類生息地としての重要湿地のひとつとして環境省のサイトに出ていたが、「田」には池という意味もあるので、古くは「池」を付けず「鷹ノ田(たかんた)」と呼んでいたのではないか。

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甘利山の湖沼群(ver.1.2)水辺遍路謹製


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池の位置は標高916mを示していた。現地の看板(右)に、地名の「鷹ノ田」が記されている。


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別アングルからの鷹ノ田の池との位置関係


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