神戸市の阪急線・岡本駅から南斜面に広がる住宅地を抜け、八幡谷に沿って沢伝いの道をのぼっていくと、飲料自販機の先に登山道への分岐がある。
ここを進んで行けば1時間半ほどで横ノ池という芦屋市民御用達の憩いの山池があるのだが、その途上のどこかにハブ谷という谷があり、その内奥にハブ沼なる池があるとかないとか、そんな話をどこかで読んだ。
そういうわけで、横ノ池への表参道ともいえる高座の滝からではなく、裏参道の八幡谷からのアプローチを試みていた。装備はしっかり軽登山用だが、食糧を持ってくるのを忘れた。いつもどこか抜けている。
登山口から遊歩道を20分ほど進んだところで、最初のトレッカーと対面。この年輩女性は、翌週開催予定のグループのトレッキングに向けてのコースの下見に来ているというベテラン。しかしハブ沼のことは知らないようだった。
もう少し進み、次に対向してきた男性にハブ沼のことを訊ねると、分岐をやや通り過ぎているということだった。注意しているつもりだったのに不覚だった。男性について道を戻り、分岐点まで案内してもらった。毎週のようにこのコースを歩いているという男性でも、ハブ沼には年に一度行く程度だという。
おしえてもらった分岐からしばし登っていくと、もうひとつ分岐があった。



右側は少し進むと行き止まりになったので、反対側を進むと、わずかに下った先に小分岐。直進する道は上りへと転じていたので、池ならば下にあるはずと下る方の分岐道を進むと、やっとかわいらしい池が姿を見せてくれた。
池の流れ出しをまたぐ手作りの小さな橋が架けられていて親切だ。橋のあたりの水路は護岸の石組みも確認できる。
山の斜面に囲まれたくぼ地のような谷にたたずむ小さな池に、睡蓮がびっしりと葉をかさねていた。
ハブ沼を知っている人に偶然会えた運にも助けられたが、こういう山池に対面できたときの気分は格別である。



