鈴鹿山脈北部のハイライト山池
鈴鹿山脈の北の盟主、霊仙山(1,094m)の七合目から八合目に広がるカルストの山肩に佇む山池。天然のドリーネ池と考えれている。
鈴鹿山脈の山池のハイライトといえる風格。池を前に立つ木地むきだしの鳥居がかえって神々しい。霊山神社の文字もある。池が御神体のような雰囲気だが、お虎さんにや米の研ぎ汁にまつわる伝説も。
池は琵琶湖の形をしているようにも見え、少し高台に立てば眼下にホンモノの琵琶湖を見下ろせる。不思議な偶然か。
米原市が立てた「八合目 お虎ヶ池」の隣に挑むかのような「この池はお虎ヶ池ではありません」との微妙な看板が立ったこともあったり話題にこと欠かない。お虎ヶ池の話だけで数時間は呑めそうな、
そんな池参りしがいのある景観と充足をあたえてくれる。
お虎ヶ池へのアプローチは登山路。榑ヶ畑(くれがはた)登山口から往復3時間ほど。
榑ヶ畑登山口
養鱒場から先の林道は舗装されているが離合困難な狭隘路なのでクルマで進む際には注意。
車止めのある登山口前に数台の駐車スペースがある。
登山口〜汗フキ峠〜カレンフェルト急登
榑ヶ畑の廃村跡を通過すると、一軒だけ現役で営業している山小屋「かなや」がある。ここから汗フキ峠までの急登。
汗フキ峠からはヤセ尾根を経て比較的ゆるやかに登るが、カレンフェルトが見えはじめると再び急登。樹林帯を抜け、突き出した石灰岩に足を取られそうになりながら、つづら折りに登る。
琵琶湖を眼下に掌握す
ところどころから琵琶湖が。日本一の大きさを誇る琵琶湖を、ひとつの視界でおさめることができるのは登山ゆえの醍醐味。
低地の池を俯瞰できるのは、山池参りのもうひとつの楽しみ。
七合目のお猿岩からは高原逍遙
七合目の山の肩に出ると、ご褒美のような天上広場。
草原で草を食む羊の群れのようなカレンフェルトと、ところどころにドリーネの凹み。
お虎ヶ池
お虎ヶ池は琵琶湖のカタチ?
カルスト台地で他にもいくつか凹地が見られたことから、お虎ヶ池もドリーネ池と考えられる。
そのわりにはかなり浅いようだが、なぜ水が涸れないのか、地形を見ただけでは分からない。他にも池になってよさそうな凹地はあるのに、わりとひらけた感じのこの場所に常時に水があるというのは不思議でならない。
形状は言われてみれば、琵琶湖を南北さかさまにしたように見えなくもない。
池には生物も生息
アキアカネ、オニヤンマが生息。こんな閉鎖環境でも、たくましくヤゴが育っているということに感激。カエルの声を聞いたとの報告もあるが、オタマジャクシを含め直接確認はできなかった。
魚類も確認できず。
お虎ヶ池の「とぎ汁」伝説
伊吹山の伊吹三郎と夫婦になった霊仙山のお虎。伊吹三郎は歴史上の人物ではなく、神族であろう。
伝説では年に一度、伊吹山から訪ねてくる夫のために、お虎さんがこの池の水で米を洗ったため、その研ぎ汁で池の水と下の滝が白濁したという。
夫婦なのに年に一度しか会わぬことや、こんな山の上でお米を研ぐというのは現世的ではないから、お虎さんも山姥など山の神に類するものだったのだろう。それなら、お虎ヶ池が霊山神社の御神体のようになっているのも頷ける。
一方、周辺のお寺で使う米を研いだために池の水が白濁したとする現実的な言い伝えも。
鈴鹿山脈の他の山池にも見られる共通点として、雨乞い伝説も残る。
衝撃の説。ホンモノのお虎ヶ池は別に?
お虎ヶ池の所在や伝説については、集落によって異なる言い伝えがあったようだ。
ただ山麓の集落三つが昭和時代に廃村になっているため、お虎ヶ池の言い伝えや祭りについては、丹生集落が聞き取りのできそうな場所かも。
上丹生集落では一年に一度、お虎が伊吹三郎を迎える日は餅を食べる祭りがあったとか、その日は山に入らないといったしきたりもあったとか。
また2013年ごろ、米原市が建てたお虎ヶ池の標柱の隣に「この池はお虎ヶ池ではありません」という衝撃の看板が立っていて登山者で話題になったというが、現在、この看板はなくなっていた。
先に書いたように、あたりにはドリーネ池や凹地が点在している。なかでも現在、お虎ヶ池とされている池から登山道を東に500mほど歩いたところにある丸い池は、研ぎ汁感のある水をたたえている。
看板の設置者は下丹生集落。やはり早いうちに聞き取りを行ないたいものだ。
山池めぐりマップとGoogleマップ
山めぐりマップ(作成中ver2.1)
お虎ヶ池の往復山歩きデータ(GPS)
Googleマップ
マークした場所は榑ヶ畑登山口の駐車場