水辺遍路

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田代ヶ池(三重県いなべ)

【たしろがいけ / 田代池】

畝状の谷が迷走する稜線上の寺社池

岐阜県の濃尾平野と三重県いなべとの間をうずくまるような山塊で隔てる養老山脈。
じつはこの山、ちょっと変わっている。地図では稜線上に榑沢池、田代池など三つの山池があるように見えるが、実際には頂稜部がかなり広々としたテーブルマウンテン。畝状の小ピークがいくえにも重なって、まるで巨人の茶畑のような景観を広げている。
畝と畝の間には重畳と緩慢な谷筋が入り乱れ、山池の巣になりそうな地形だった。田代池という池名にしても、水田のように池がたくさんある場所という意味を持っているので、昔はもっとたくさんの池や湿原があったとも考え、このような地形で池がたった三つしかないことが逆に奇跡のように思えてくる。

まるで茶畑のような山頂部。中央下の池は田代池


 

池神社

池畔には池名を冠した田代ヶ池神社がある。
石碑には「田代ヶ池」、鳥居には「田代池」という記名があり、「ヶ」の有無が異なる。



 

池伝説(片目の白龍)

この山塊の南端に位置する多度大社に祀られている片目の龍神は、もともとはここの神様だったとか。
竜と娘の結婚の約束にからんだ無理難題→約束反故というストーリーは、そっくり換骨奪胎バージョンが長野県の大沼池に見られる。そちらはアニメ「まんが日本昔ばなし」にも採話されているが、大沼池は黒龍、こちら田代ヶ池は白龍となっている。

田代ヶ池の昔話し(引用)

三重県員弁郡の山の中の話しじゃ。
田代ヶ池の近くに沢という娘と、その父親 作次が二人で暮らしておった。作次は娘の沢を可愛がり母親がいない事もあって大切に育てておった。
沢が16の年、雨が降らず飢饉でな、米がまったく採れなかった。
ある日、沢が田代ヶ池のほとりで見知らぬ男と出会った。それから二人は毎日池のほとりで会い、語らった。作次は池のほとりで語らう二人を見付けた。
何日かして男が作次のもとを訪れ「沢を嫁に欲しい」と頼んだが作次は取り合わない。それでも食い下がらない男に「雨を降らせる事ができたら嫁にやっても良い」と投げやりに言ったが、男は「解りました」とだけ言い残すと出ていった。
次の日から数日にわたって雨が降り、飢饉から逃れることができたが、夜になって片目を被った男が現れ「約束通り片目を天に捧げ雨を降らせました。沢を嫁にもらってまいります」と言った。
「誰がお前のような嘘つきに大事な娘をやれるか!」と作次が。「どうしても無理なら力づくで・・・」と男が言うと沢が奥の部屋から夢遊病のように男に付いて家を出ていった。作次が慌てて後を追って外に出ると夜空を2匹の竜が天に昇っていく姿が見えた。
後に作次は沢を思いこの土地に祠を建てたそうじゃ。



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もうひとつの池

桜番所の北西400mの標高530mあたりに湿原を擁した池がある。池名は不明。形態は田代池、榑沢池に似ている。

くぼんでいる場所が桜番所。池はその先の谷部。整然とした植林の左に池が見える


Pマークは、石津御岳登山口(岐阜県側)。