水辺遍路

訪れた全国1万1,450の池やダムを独自の視点で紹介

渡島大沼・小沼(北海道七飯)

【おしまおおぬま・こぬま】

大沼と小沼の接合部である「セバット(狭戸)」。函館本線が通る(2023年撮影)

国定公園にもなった道南を代表する天然湖沼

大沼と小沼、じゅんさい沼などで構成される湖沼群。湖上には126もの島が浮かぶ。小島のあいだを遊覧ボートが走り、小島を橋で結んだ遊歩道を歩けばさわやかな風が吹いてくる。
観光地としての歴史も長く、函館本線には名を冠した大沼公園駅も。観光的に「大沼湖」という愛称も使われている。
日本新三景、ラムサール条約登録湿地、日本の重要湿地500

 

成因は駒ヶ岳噴火

現地の案内板では有史以前の北海道駒ヶ岳の噴火による堰き止め湖と記されていた。大沼は江戸時代初期の1640年の大噴火で山体が大きく崩壊し山裾へと流れ落ち、つづく1856年の噴火で発生した泥流によって沢が堰き止められた。これに大規模な地盤陥没が組み合わさって大沼・小沼をはじめとする湖沼群が生まれた。
組成としては会津の磐梯山噴火と裏磐梯湖沼群の成立と似ている。

bunbun.hatenablog.com


 

構造と形態

大沼と小沼を接続する「セバット」

「狭戸」と書いて「セバット」

大沼と小沼はセバット(狭戸)という地狭部で通水しており、大沼から小沼側へと水は流れている。



セバットでの逆流の理由は?

本来は小沼→大沼と水が流れるはずだが、小沼側に人工の取水口があるため、セバットでの水は大沼→小沼の方向に逆流している。



白鳥台

駐車場あり。


湖上には126もの島


流入河川

駒ヶ岳から西流するかたちで大沼には数本の流れ込み河川あり。写真は大沼橋の周辺。
ところで小沼の流入河川は?


流出河川と銚子口放水門

大沼の吐き出し口はキャンプ場駐車場わきにあり、折戸川となって海へと流れ下る。
吐口には銚子口放水門が設けられている。

駒ヶ岳と渡島大沼

渡島大沼・小沼のバードビュー

駒ヶ岳登山道の8合目からは渡島大沼・小沼の全貌を見渡すことができた。


駒ヶ岳登山

6合目に無料駐車場と登山口。
噴火規制のためゴールは馬の背。往復2km、2時間ほどの歩程。




 

渡島大沼の施設・アクティビティ

大沼公園

大沼公園散策路

大小の島々を橋で渡る。


大沼公園駅

ビジターセンター


遊覧船

カヤック出艇もできる無料キャンプ場

2023年8月

東大沼キャンプ場は日本でもトップ級の湖畔キャンプ場。北海道に行くと必ずといっていいほど寄っている。



2005年7月


2010年7月

駐車場

北海道に上陸し、ここの駐車場の三泊しただけで北海道を後にしたこともある。そのときいっしょにいた娘(当時、小学生)の話では、北海道でいちばんここが思い出に残っているとか。
夜はホタルが舞った。

池ごはん2005

2005年、大沼滞在中のこと。当時、近くの商店には食べ物もあまり売っていなくて、夕食を何とかせねばと、とりあえず買ったラム肉とモヤシをカセットコンロとフライパンで炒めて、「これが本場・北海道のジンギスカンだぞう」といって小学生の娘に出した。
成人してからも娘はずっとあれがホンモノのジンギスカンだと思っていたらしく、ジンギスカン専門店に行っても、こんなのジンギスカンじゃねえ、と思っていたそうである。
お父さんの小さな嘘が娘のジンギスカン観を狂わせてしまった。現在、娘は「生ラム肉」なるものをシンプルに炒めたものが好きだそうである。
生ラム肉?
確かにスーパーに行くと、売っていた。

これが娘が思い出の中で10年以上、「ジンギスカン」と信じてきた池ごはん


年齢は3倍近くになっている

池ごはん2023


 

小沼の施設・アクティビティ

駒ヶ岳と鉄道との景観


農業や水力発電用水を取水

小沼の東部には七飯取水口も設けられ、水力発電や農業用水として利用されている。

七飯取水口

釣り

へらぶな釣りもさかんで、のっこみの時期は、すれていない巨べらが狙え、釣り大会も開催されている。文化湾がポイント。

日暮山(ひぐらしやま)

日暮れを忘れてしまうほどの美しい景観からその名が付いたとされる。展望台がある。
自動車道もあるが訪れた際は閉鎖。徒歩のみアクセス可で往復1時間ほど。


 

生息する動植物と「重要湿地500」

淡水貝類で重要湿地500に

「北方系と本州系貝類要素が混在し,多様な生物相を有する」が日本の重要湿地500の選定理由に。

魚類

アメマス、ウグイ、ワカサギ、ヘラブナが生息。

水生植物

ミズバショウ、スイレン群落も。


 

マップ

現地案内マップ


ニッポン湖沼図鑑マップ

Googleマップ

マークした場所はキャンプ場