あらいけ。
これぞ、多目的ため池の鏡。
日本を代表する池を十挙げよと言われれば、古都奈良の甍(いらか)を水面(みおもて)に映す猿沢池をはずすわけにはいかないだろう。その猿沢池のよきサポート役のようにやや間を置いて付き従い、反対側を鷺池にはさまれ、ちょうど上中下の中池のような立場にあるのが荒池である。
古都奈良を縦貫する国道が池のどまんなかを走るが、橋梁ではなく中堤の上を通るかっこうになっているので、実際には上下二段の構造をもつ。
この中堤には余水吐と水門が設置されていた。
池の起源は豊臣秀吉の命によって築造されたという話であるが、明治21年の大改修によって本格的なため池として稼働する。さらに平成9年の改修では、従来の貯水機能に加え、奈良市街地を洪水から守る調整池としての機能も果たせるよう改造された。
また、その立地上、古都の観光資源としての役割も大きく、玉石を敷き詰めた護岸によって、天平の甍との調和がはかられており、まさに多目的ため池とでも呼びたくなる器の大きさだ。
上段の池。手前は国道。
取水設備。
案内板。
奈良の水辺めぐりマップ。