水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

又八沼(青森県青森)

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絶滅危惧種シナイモツゴが自然分布する北限の池。

ここ又八沼は絶滅危惧種であるシナイモツゴの自然繁殖が確認されている日本北限の池として、青森市の天然記念物に認定されている。
シナイモツゴはもともと東日本の水路や池などに広く生息していたが、近縁種であるモツゴの分布拡大や混血、外来魚による食害などで激減し、今では新潟以北の山間部の池など、異種が混入しにくく環境の変化が少ない閉鎖的な水辺へと追いやられている。

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海外から移植された魚は「外来魚」という分かりやすい旗印のもとで、駆除という分かりやすい対策がさかんに行われているが、日本産淡水魚においても、本来は生息していない場所に移流され、その水辺本来の種の遺伝的固有性を脅かしている事実もある。シナイモツゴやウシモツゴに対してのモツゴのほか、アマゴとヤマメについても放流による混雑は全国各地で見られる。
現在は北海道でもシナイモツゴがいるが、人為的に移流したものなので、自然分布したシナイモツゴが青森市街地のすぐそばの平地の池で今なお生息しているというのは、確かに天然記念物に値することなのだろう。
又八沼に行くためには野木和公園から板野堤の方に向かう道を進む。途中、ダートとなるが歩いてもたいした距離ではない。
青森市街地の辺縁にあたり、大型のブラックバス釣りで人気のある野木和湖から300mしか離れていない又八沼で、ひっそりとシナイモツゴの生息環境が保たれてきたことは驚きである。
釣りは禁止。

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池のかたわらには案内板も設置されている。
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池へのアプローチ路はダート。倒木でクルマは入れない状態だが、モンキーで下をくぐり抜けることができた。

マークした場所が又八沼。Googleマップには2017年現在は池として水色表示されていない。航空写真に切り替えると池が見えます。