【こうぼうぬま / 田代山湿原】
雲上楽園! 標高1,926mにあるテーブルトップの山池
田代山という名を聞いただけで、もう撃ち抜かれそうになった。苗場山と同じく、「田代」「苗場」といった名をもつ場所は、まさに水を豊かに漲らせた水田のように池、沼、池塘が広がっている。南会津はまさに田代銀座といっていいほど山頂、山肩、山腹、山麓に湿原がきら星のごとく集結。まさに田代のマゼラン星雲。池好きには夢のような楽園だった。
君の名は、池界のスーパースター
日本中に池伝説を残した弘法大師(空海)
日本最高峰の溜め池とされる満濃池の築造をはじめとして、日本各地に池や泉といった水にまつわる足跡を残した池の世界のスーパースター、弘法大師(空海)。
弘法大師さまの恩浴はいずこに?
池造りの神的な大御所の名を冠した沼とあっては看過することはできない。しかし沼は木道からやや遠目に見えるだけで、弘法大師さまの恩恵に浴せる感じがしない。さらに奥の田代山山頂にある弘法大師堂なるものに足を伸ばしてみたが、やはり恩浴が感じられるものはなく、トイレ付きの新旧の避難小屋があるのみ。この小屋をもって弘法大師堂というようだ。ぬぬ? せめて由来が記された看板がほしいものだが。
じつは・・
じつは田代山が二人の高僧によって開山されたのが、およそ110年前の大正元年(1912年)で、この際、雷神が住まうとされたこの山からもたらされる水害を鎮める祈念をし、弘法大師像を祀ったのが由来という。ということで、直接、空海さんが関わったわけではなかった。
類名の池としては、愛知県の知多半島南部に、その名も「弘法池」がある。また湧水の甌穴を「弘法池」と呼んだものが石川県に、そのほか神奈川県横浜にも公園化された弘法池がある。
弘法沼の地形(空撮)
みごとなテーブルマウンテン。その緩斜面の下の方に弘法沼がある。ううっ、これはカッコいい!!
弘法沼の形態
弘法沼は一方通行の木道を少し進んだ分岐点にあるが、沼を示す看板はなかった。やや遠目に見やる感じになる。
立地と地形
山頂湿原の池塘群の末端に位置することで大きくなった天然沼沢。
高いところは苗場状で下にいくにつれて湛水面が広がる。浮島状の島もある。
エッジは森林
最末端のエッジは擁壁のようにやや小高くなっており樹林帯となっている。
もうひとつの湿原「小田代」
大きな頂上テーブルの少し下、山肩のような踊り場にサイドテーブルのような小さな「田代」がある。標高1,815mあたり。
頂上テーブルの湿原と池塘群
マイナーな山とは思えぬ広大な頂上湿原が広がり、いくつもの池塘が見られた。
弘法大師堂(頂上の避難小屋)
湿原の奥、やや小高くなったところが林になっており、そこが頂上。避難小屋と休憩スペース、トイレなどがあるが、ここから沼と湿原の眺望はない。
弘法沼へのアクセス
おもに三つのルートがあるが、今回は猿倉登山口から。
猿倉登山口からのルート
猿倉登山口(南)から弘法沼まで往復3.5時間ほど。猿倉登山口は駐車場・トイレあり。登山路はよく整備されている。
登山口まではダート11km
登山口へのアクセス路となる県道350は2022年現在、登山口のある峠から栃木県側が通行止め。よって川俣ダム側からはアクセスできず福島県側からのみとなる。ダートと舗装を織り交ぜながら11kmも登っていく。
登山口の駐車場とトイレ
駐車場は下と上があり下側の駐車場が広くトイレもある。
登山口
小さな沢を渡って登山開始。
登山路
登山路はこれ以上よくはできないんじゃないかと思うぐらいよく整備されており、ファンの多さがうかがえる。これも弘法大師さまの恩浴?
弘法沼周辺の動植物
ヒメシャクナゲ、チングルマ、タテヤマリンドウ、ニッコウキスゲ、モウセンゴケ。
マップ
池さんぽマップ
水辺遍路謹製2022
Googleマップ
マークした場所が弘法沼の正確な位置。