水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

燧ヶ池(茨城県つくば)

ひうちがいけ。
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百名山の秀峰に四季を添える名撮影スポット。

筑波山の隠れた名撮影ポイントとして写真愛好家に人気が高い農業用ため池。
池畔にたたずむ樹齢300年ともいわれる榎(えのき)の古木を主客に、春には桜、夏に蓮、秋には彼岸花を添え、万葉にも詠まれた筑波山の秀峰を季節感豊かに演出する名脇役として徐々に知名度は上がっているが、観光的な要素はまったくない。
観光資源として注目されるようになってきているだけに、遠からぬうちに案内板や駐車場なども整備されるのではないかと思うが、今のところ農地の中に無造作にたたずみ、その素朴さもまた魅力ともいえる。

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ただしアプローチ路は狭隘な農道で、駐車スペースといえそうなものもかろうじて一台、二台分といったところ。先行車がいればバックでもどるしかないような状態である。
写真家のほかに、ブラックバス狙いの釣り人も多い。

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池の名前に関して、燧ヶ池の周辺には火打ヶ池古墳という前方後円墳があると考えられており、池名は「火打ヶ池」がオリジナルであろうかとも思うが、「燧(ひうち)」の文字自体が火をおこす道具という意味なので大差はない。
「燧」のつく名としては、百名山でもある尾瀬の燧ヶ岳がまず浮かぶが、池名として「燧」がつくのは意外にありそうでない。愛知県知多半島の古戦場で、池一面が血で赤く染まったともいわれる燧池がかろうじて挙がるが、この池は現在は埋め立てられた跡地に石碑が立つのみである。

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尾瀬沼ごしに見る燧ヶ岳という構図は写真愛好家ならずとも定番中の定番であるが、ここ燧ヶ池ごしに見える筑波山もまた百名山である。
なお、訪れた際には、池面をびっしりと覆っているはずの蓮が神隠しにあったかのように消失していて少々、驚いた。完全なオープンウォーターの池になっていた。蓮の消失はここ一、二年のことではないかと思う。
2017年では埼玉県蓮田の黒浜沼、2016年には神奈川県大磯の東池で、突如として蓮が消える事態が生じて地元を驚かせた。
琵琶湖で広大な面積の蓮が消えた例もあり、愛知県東浦の永見池でも同様に蓮が消滅しているが、いずれも原因ははっきりしていない。

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マークした場所に駐車スペース1台。