水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

オトワ池(滋賀県大津)

【おとわいけ / 音羽池】

千メートル峰の尾根に並んだ「池の巣」

標高千メートル以上のピークが連ねて琵琶湖西岸に沿うように横たわる比良山地
オトワ池(音羽池)は、その一峰、白滝山(1,028m)の山頂近くにある湖面標高970mの山池。木々に覆われているわりには山頂を形成する緩斜面上にあるので空が広く表情は明るい。
オトワ池の先には数分歩くごとに次々と池や湿原が現れ、まさに池の巣の様相。佐渡島(新潟県)にも同じ名をもつ伝説の山池があるが漢字が異なる。
坊村の登山口から徒歩で往復5時間ほど。

 

オトワ池への行程(登山)

迷いやすいので注意

ルートは踏み跡が幾筋もあり迷いやすい。目印のリボンが頼り。足場が悪い急登がつづくので、ついつい下を向いて歩きがちだが、ひとつのリボンに達したら一度立ち止まり、次のリボンが見えてから歩くことを繰り返すように。それでも、わずかとはいえ何度か正規ルートからはずれた。20mほど戻るのを面倒くさがってショートカットしようとしたら、体重を支えていた左手の岩がボロッとはずれて滑落。高さは2mほどでたいしたことなかったのだけれど、漬物石ぐらいの石が顔の左側を直撃。手と耳の間の距離ぐらいなので加速がついていなかったから、耳が少し切れたぐらいで済んだけど反省。

登山口近くの駐車場とトイレ

滋賀県立朽木・葛川自然公園の駐車場が登山者拠点。駐車場を出て国道を渡るとトイレあり。

葛川案内マップ

公衆トイレ横に掲げられていたマップ。オトワ池は出ていない。

明王院参道を通り登山口へ

味わいのある門前の高級旅館と水の流れを経て三宝橋。


登山口(比良比叡トレイル)

看板類が複数立っている。「比良比叡トレイル」の看板の新しい標柱も。
オトワ池へは「牛コバ」方面へ。最初は渓流沿いに林道歩き。


崩落箇所を経て三ノ滝水広場

「覚照水」の標柱。水くみ場とベンチ。


林道からの分岐(伊藤新道)

ここを見落とさないように。林道から登山路へと入る。
枝沢の小砂防堰堤が目印。


白滝山の山頂

滝を捲いたりしながら尾根から山頂へ。1,028mの山頂には眺望はない。ここからはオトワ池まで下り道となる。



 

オトワ池の構造

すり鉢状の地形

比較的なだらかなスリ鉢状のくぼみに水がたまっている状態。極端な土砂の流入はなさそうだが、明瞭な流入口となる沢なども見あたらなかった。
池底は落ち葉や水草の堆積が進んでおり、地形的にも浅そう。明瞭な湧水口は確認できなかった。
また、水位の変動歴などは湖岸からは見てとれなかった。


落ち葉が水底にかなり堆積している

吐き出し

典型的なすり鉢状の地形であるが、水位が大きく上がった時に流出するくびれが東側にみとめられる。(下写真)
このくびれの先は谷となって沢に合流し、夫婦滝へ。


 

オトワ池の地形(空撮)

よくぞこんなきれいなスリバチ地形になったもんだ・・。池からやわらかな谷が右側の渓谷に下っているのが見てとれる。



 

オトワ池周辺は「池の巣」

長池、カシラコ池を示す道標が池畔に立っている。
航空写真を精査すると、全部で七湖ほどの池(雨後出現湖らしき湿原も含む)が確認できた。地元の登山者が11ヶ所を確認したとの情報も。800mほどの南北直線上に100m間隔で一列に並んでおり、池の巣のような状態。オトワ池はその北端に、長池は南端に位置する。


 

池ごはん

ベンチなどはないがレジャーマットを持っていけば落ち葉がふかふかで心地いい。


 

同名の池

佐渡島(新潟県)には、乙羽池(おとわいけ)という山池があり、オトワさんという娘にまつわるゴリ押しな池伝説がある。
こちらのオトワ池は「音羽池」と書くようだが、何かしらの池伝説がありそうな予感。

bunbun.hatenablog.com


 

Googleマップ

Pマークの場所にトイレと駐車場。