幻の肘折湖と大蛇伝説
内径2kmの肘折カルデラ底にある肘折温泉を貫いて流れる銅山川。その街はずれに小松淵という深いよどみがあり、大蛇伝説があるというので立ち寄ってみた。
地形から1万年以内という比較的新しい時期にカルデラ湖が存在した可能性もあったのではと思って、何か痕跡はないかとも考えていた。
一般的に巨大ロストレイクの多くは湖岸の一部の決壊によって消失する。ここに幻の消失湖、名付けるなら「肘折湖」なんてものがあったとすれば、退治された大蛇の血で染まったという小松淵が、決壊した開析部にあたるのではないか、なんて地形を眺めながら夢想するのであった。
伝説では白蛇から流れ出た血が七日七晩にわたって川を赤く染めたそうだ。神話や池伝説では大蛇は決壊や氾濫のメタファーと考えられるものもある。大蛇の血が関係する池伝説には、東京の狭山池や信州の野々海池、上越の鼻毛の池などがある。
カルデラ湖ではなくても火口湖なら!
気象庁の報告では、肘折カルデラの中央部には湖成層が確認されているようである。地形を見てもカルデラ中央部には噴火口のマールと思われる円形のくぼみも見られる。カルデラ湖とまではいかなくても、ここに爆裂火口湖があった可能性は高そうだ。現在は畑地になっているためフラットに整地されている。
外輪山の外側ではあるが、3.5km北西には火口湖と思われる今神御池もある。