住吉池公園。
ため池としては国内トップクラスの深さ
江戸時代から農業用の溜め池として利用されており、アースダム形式の堰体に堰かれてはいるが、溜め池とは思えない美しい円形が魅力。
池は天然湖をベースに溜め池化
この円形を形作った地形は8千年前の火山活動。マグマ水蒸気爆発によって吹き飛ばされた丸い地形は、「マール」とも呼ばれる爆裂火口湖の典型的な風貌でもある。
大蛇と底なしの池伝説
起源の古い池だけに、堤を決壊させないかわりに生娘を生け贄に求める大蛇の伝説もあり、近代になるまでは底なし池として怖れられていた。
そして調査によって明らかにされた最大水深はなんと52m。天然湖由来とはいえ、灌漑用溜め池としては国内トップクラスの深さ。
江戸時代に地下トンネルで通水
もともとは流入河川も流出河川もない天然湖だったわけだが、これでは溜め池として使いようがない。
そこで江戸時代に2,800mもの地下トンネルを掘って、池に水を引き込むことに成功した。池への流入口はキャンプ場側の石積護岸のあたりに水路が見られる。この奥がトンネルへとつながっているのだろう。
トンネルは池の東側を流れる寺師川の上流部へと通じているという話だが、川につなぐだけであればトンネルは1kmもあれば足りる。川と池との高低差を利用して自然に池に水が流れるようにするために必要だったのだろうが、それにしても2,800mのトンネルというのは長すぎる気もする。寺師川側の取水口の位置はまだ未確認だが、いつか見てみたいものだ。
池の形態
アースダムの堰体
池の南西部にあるアース堰体は、貯水量を増やすための嵩上げと取水口の設置を目論んで造られたものだろう。
全長3,200mの住吉池用水
流出河川がなかったため全長3,200mの住吉池用水も合わせて造られている。
数度の決壊歴
大蛇伝説にもある数度の決壊は史実であり、この池の鬼門でもあった。堰体の右岸側には石垣状の護岸が見られる。なぜここを補強する必要があったのか、もっとよく見ておけばよかった。
取水口
鬼門といえば取水口もそうだろう。水を抜くためには「尺八」と呼ばれる湖底の取水管から栓を抜く必要があり、吸い込まれて亡くなった人もいたらしく、水門で取水操作ができるように改良された。取水口についてもちゃんと見ておくべきだった。
西南戦争の弾薬が湖底に?
西南戦争の際には明治政府軍が西郷隆盛陣営の隠し弾薬をこの池に投棄したという話もあり、何かと人とのつながりの濃い池である。
池のレジャーと設備
キャンプ場、浮き桟橋
レジャー要素としては、ブラックバス釣りもできる池で、浮き桟橋、駐車場、トイレ、キャンプ場が整備されている。
2012年に初めて訪れたときは工事中だったキャンプ場も、2017年の再訪では快適そうな感じだった。
ただ、堰体側の岸は急傾斜で危険なため立入厳禁との看板が立っていた。釣りはキャンプ場近くの桟橋が便利。
展望台
東岸側の外輪山上には池を一望できるという展望台もあるが、2022年に訪れた際は木々に阻まれてほとんど眺望が得られなかった。
駐車場、トイレ
近くには日本一の楠の大樹も
幹まわり22mの巨樹「蒲生の大クス」は、住吉池の西1.5kmの場所にある。国の天然記念物に指定。
こちらも合わせて会いに行きたい。
巨樹の近くに無料駐車場、トイレあり。
Googleマップ
マークした場所は駐車場。