【へいべいいけ】
登山で行く標高1,500mの天空伝説の池
チャツボミゴケ公園内で「池」と名付けられたものとしては、もっとも標高が高い位置にあり、この池に会うためには軽登山装備が必要。
天然記念物の穴地獄から「水池・大池」の標柱の立つ分岐路があり、ここから登山路で水池、大池を経由して平兵衛池に進むルートが山池めぐりができて楽しいが、往復で2時間半ほどの山歩きを要する。
平兵衛池はテーブルトップのような山腹の台地にあり、上方には二つの湿原を経て白根山頂が白骨のような異形を見せている。
尾根台地上にあることから平兵衛池の流れ出しは、大池や水池とは反対方向の急崖の谷へと落ちる。
噴火活動が今も続く白根山の山腹という立地から、この池たちもやはり火口湖であろうかと思ったが、平兵衛池の形状は堰き止め湖のようにも見える。
調べていると「平兵衛池溶岩」という形で地層の名に池名が付けられていた。
火と水から生まれたコバルトの瞳
白根山では噴火活動が今もつづいている。太古のマグマ噴火による巨大火砕流による堆積物や溶岩流が南東側にせり出し、長い時間のうちに風雨に削られてミルクをこぼしたような「流れ山地形」が生みだされた。
温泉成分を含んだ水質のため、日によっては美しいコバルトブルーの瞳のようになるが、私が訪れた日は水が少々淀んで芥が浮き、小さな羽虫の猛攻でゆっくり池を見るどころではなかった。
どこか池を俯瞰できるところはないかと、池を高巻きに高度を上げて八石山(1,596m)の標柱まで行ってみたが、草津の町の俯瞰を得られただけで、その後、一度も池は顔をのぞかせてくれなかった。
帯状に点在する山池に共通する大蛇伝説
大蛇あるいは竜のバリエーションもあるが、いずれにしても若く身分のある女が池に入水して蛇体になるタイプの伝承が残されている。この女は土地の名士・平兵衛の娘ということになっている。
平兵衛池は草津白根山の東側山腹に位置するが、反対の西側(長野県側)には大沼池や四十八沼に黒姫という身分の高い娘と竜(大蛇)にまつわる伝説が伝えられている。さらに千曲川をはさんだ西方にある黒姫山の山池にも黒姫伝説のバリエーションが見られ、共通性をもつ伝説が山池ベルト地帯のように分布している。
アクセスルート
穴地獄のボードウォーク上にある「水池・大池」方面分岐から二つの池を経由して行くルートは片道1時間20分。ここで紹介する平兵衛池へのダイレクトアクセスルートは片道1時間。
まずは穴地獄の横の池(仮称)に行く。そこから林道を進む。
現地案内板
案内板のマップが充実していて助かった。
草津白根エリア内の湖沼群が写真付きで紹介されていて、心ときめく。
Google マップ
マークした場所は、チャツボミゴケ公園の駐車場。