「日本100ダム」最難関にして最後の1基、ついに。
綾南ダムとセットで築造された県営補助多目的アーチダム。
九州でもっとも道路状況が厳しい秘境中の秘境に立地し、下流側からのアプローチは通行止ゲートがあり、かといって上流側からのルートも災害通行止めが常態化している酷道ばかりで、「いつ行っても通行止め」のダムとしてダムファンのあいだでも知られた存在。
個人的にも「日本100ダム」を99基まで参詣し、最後の1基としてこの綾北ダムを残すのみとなっていたので、何としても逢いたい人造湖だった。
偶然に助けられ、というか、これって危機?
熊本側からのアプローチは、あさぎり町からの県道がいきなりの時間規制。日中は昼の1時間しか通行できず撤退。
翌日、早朝からの出直しアタックではさらに奥の道路で数度の時間規制に遭うが、日曜だったため休工でからくもしのげた。
常時通行止め酷道として名高い縦貫ルートの国道265号との交差点までたどり着いたものの、ここまで来て北へも南へも、そして綾北ダムがある東側もすべて通行止め看板。八方塞がり、またあの長い行程を戻るしかないのか・・。もう徒歩でも獣道でも進めるとこまで進んでやろうと綾北ダムへの険道を進む。
途中、ゲートが開いていておかしいなと思った場所があったが、直後、工事関係者のクルマとすれ違った。向こうも、あれ? という顔をしていたが、こちらも作業着を着たハイエースなので関係者と思ったか、止められることもなかった。じつは、この関係者が通った際に開けたゲートを、すぐ戻るつもりで開けっぱなしにしていたところを通過してしまったようなのだ。
こうして夜明け前から数時間かけて綾北ダムに到着したものの、このあと、まさかの事態が・・。
工事業者が出ていってしまったため、自分のクルマがゲートとゲートにはさまれた区間に取り残されてしまったのだ。ここで誰か関係者が通るのを待つしかない。保存食もあるし、水は湧き水をくんだばかり。何とも思い出深い100ダム達成の日となった。