水辺遍路

訪れた全国1万1,450の池やダムを独自の視点で紹介

天ノ池・地ノ池(二ツ池)(北海道羅臼)


知床半島の湖沼では唯一、「池」の名を持つ

二ツ池は、知床半島において地理院地図に正式に沼名が記載されている七つの湖沼のひとつ、というか二つというか。
地理院地図の正式名は「二ツ池」であるが、登山者向けの案内マップなどには、「天ノ池・地ノ池」と記されているのは、知床連山の縦走における野営地として認定されており、知床登山者には馴染みの池ということもあるだろう。
おもしろいのは、知床半島にある95前後の天然湖沼*1のなかで、「湖」や「沼」ではなく「池」の名を持つのがここだけという点。

 

知床半島の湖沼群では標高ナンバーワン?

湖面標高は約1,315メートル

地の池よりも天の池の方がわずかに高い。
これら二ツ池が『知床半島の湖沼』(伊藤正博著2011)では知床半島の65の湖沼で一番高いところにあるとしていた。ただ、私の調査では90以上の湖沼が存在し、地理院地図と航空写真でさらに高い場所の池が存在することを確認している。現地調査が待ち遠しい。

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連山の稜線上に立地

ピーク間の鞍部に比較的広い平地があり、二つの池が並んでおり、前述したように天ノ池の方が少し高い。
稜線上なので水源は天水と雪渓であろう。

岩ゴロの岸にシレトコスミレ

岸は岩がゴロゴロしている。池の水面からも岩が顔を出す。岩場に根付いたシレトコスミレ群落も。

天ノ池は干上がることも

夏から秋にかけては涸れることも。地ノ池の方が少し低く、こちらは涸れないそうだ。

知床連山縦走の野営地に指定

羅臼岳から硫黄岳までの縦走におけるキャンプ指定地になっている。
野営中に熊に襲われないようフードロッカーが設置されている。

池が水場にも

池が水場にもなっているようだ。雪渓にパイプを通した水場も定番の知床連山縦走ルートだが、池自体が水場というのは北海道ではかなりレア。ただし煮沸か携帯浄水ボトルは必須。



 

二ツ池へのアクセス

登山口は羅臼側、ウトロ側両方にある

羅臼側は「羅臼温泉登山口コース」、ウトロ側は「岩尾別コース」で羅臼平を経由。

羅臼野営場登山口

2023年8月、アタック失敗

2023年8月、北海道の最高気温がその日の沖縄の最高気温を越え、制度が開始されて初めて熱中症アラートが全道に発令され、よりによってそんなタイミングでアタック。
前日も暑い中、羅臼湖に行って熱中症気味だったこともあり、登山開始早々に体が不調をきたしリタイヤ。
ヒグマの多発地帯なのにスプレーや熊鈴を忘れたり、出発時から少し朦朧としていた。



登山口

熊の出没情報がヤバすぎ。


羅臼平から三ツ峰経由で

羅臼平からはピークを二つ越える稜線歩きで二ツ池に至る。日帰りは厳しいので池畔の野営指定場所で一泊するのが一般的。

 

知床羅臼ビジターセンター(羅臼側)

羅臼岳の登山口にもなっている。登山者は第二駐車場に駐車可。野営場からも登山口に入れるものの駐車には300円が必要だが、こちらは無料。





 

知床自然センター(ウトロ側)

知床半島の立体模型が分かりやすかった。二ツ池もしっかりあった。




 

マップ

池さんぽマップ

「ニッポン湖沼図鑑」フォーマットで描き直し。ver. 1.52に更新。



Googleマップ

*1:「知床半島の湖沼」(伊藤正博 / 2011)に掲載された61湖に加え、掲載61湖以外に2023年の国土地理院地図に記載された湖沼、および地図記載はないものの筆者・市原千尋が航空写真や空撮写真から湖沼と判断した15湖を加えた数。実際にはまだ未発見の湖沼もありそうに思う。