【はっちょういけ / アオスズの池】
昭和天皇も二度訪れた「天城の瞳」
標高1,173mにある周囲長600mクラスの天然湖。伊豆半島では一碧湖と双璧をなす湖沼で、「伊豆の瞳」と謳われる一碧湖に対してこちらは「天城の瞳」。伊豆でこの二湖に追随しうる池は他に見あたらない。昭和天皇も二度、池を訪れており、そのルートは今も「御幸歩道」の名で呼ばれる。
池名は湖周長の和表記にちなむが実測値とは異なる。「天城八丁池」や「アオスズの池」とも。
2022年から池の近くまで行く専用バスが運行開始され身近になった。
池名の由来
池名はこの周囲長の和表記である八丁(一丁は約109m)にちなみ、計算では870mの湖周となるので、昔はもっと大きかった可能性もある。現在のスペックでいえば五丁池になろうか。「天城八丁池」や「アオスズの池」とも。
アオスズは笹の一種のスズタケのことで近くに群落がある。
八丁池の形態と景観
成因
成因は山の尾根上にあることから長らく火口湖と考えられてきたが、地層調査の結果、断層のずれに水が貯まった断層湖であることが分かった。
流れ込み側(東側ビーチ)
明瞭な流入河川はないがビーチ状になっており、弁天様が祀られている。
池の水の流出口
明瞭な吐き出し口および流出河川はないが、八丁池から西側と北西側に谷筋がのびている。下の写真は北西側の谷筋。
湧水口(池底)
湖面のほぼ全面が結氷していたが、一部だけ氷が溶けている場所があった。湧き水の湧出口であろうか。
氷結した八丁池
2023年12月撮影。
八丁池周辺の地形
百名山・天城山の主峰である万三郎岳に至る稜線上に立地。
テント場
八丁池は天城縦走路のビバークポイントにもなっており、湖畔の草地でテントを張る登山客もいる。
岸形状
岸の大岩
ビーチ側の弁財天
展望台から見た八丁池
展望台から見た伊豆諸島
右は神津島。
八丁池と富士山
生息魚類と動植物
池には10〜25センチの魚が岸辺のあちこちで元気に波紋を作っていた。体形的にはマス類というより鯉科の魚のようだが、閉鎖環境に生息しているせいか行動はブルーギルに似て、とにかく積極的。釣りをすれば入れ食いになるという報告もある。動植物保護区域のため特別な許可が必要かもしれないが、いつか実釣調査をして魚種や特性を確認したいと思っている。
植物は、スズタケ ブナ ヒメシャラ。
八丁池へのアクセス
八丁池コース
往路と復路で異なるルートもとれる
八丁池までは複数の登山ルートがあり、片道3〜4時間ほど。
昭和天皇が通った御幸歩道は上りルートと下りルート。途中、わさび田があり、枯れ沢をいくつか越えていく尾根伝いの行程。
天城トンネルわきに登山口
水生地下駐車場から歩道のない国道を300mほどトンネルに向かって歩く。トンネルわき左側に登山路入口がある。
上り御幸道
天城山隧道(旧天城トンネル)の登山口
トイレあり。トンネルの右側に登山路入口がある。
標高710m。池までは標高差460mほど、距離は6kmで徒歩160分。
「天城隧道」ならぬ「天城山隧道」は、重要文化財、有形文化財、日本の道100選に選定。
トイレは冬季閉鎖なので注意。
天城峠
天城山隧道わきの登山口から天城峠に上がり、いくつもの小ピークと峠を越える眺望のよいルート。
わさび田
谷頭
展望台と八丁池トイレ
下のトイレの写真で左の分岐を進むと100mほどで展望台。
水生地の登山口
水生地下駐車場
標高600m。水生地下バス停あり。トイレなし。トイレはトンネルの反対側の二階滝駐車場にある。
旧道入口
水生地下駐車場の向かい側に旧道入口がある。
車止めゲートと駐車スペース
伊豆半島では熊は絶滅したとされていたが、近年、天城山でも熊が出没。
下り御幸ルートの登山口
八丁池まで4.6km。
八丁池の分岐
下り御幸道のゴール。
ルートGPSログ(2023年12月)
同名の湖沼やダム
なお埼玉県に似た名前の「八丁湖」、佐賀県には「八丁ダム」、千葉県に「八丁堰」がある。
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マップ
天城連山の池さんぽ絵図
2024年1月にver.1.2に更新。
2022年12月にver.1.1に更新。