水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

湯田旧塘池(鹿児島県さつま)

【ゆだふるともいけ / 旧塘池】

旧塘池の田の神。後ろは湯田旧塘池の堤

若い娘を犠牲にした人柱伝説と、強固な池構造

江戸時代に築造され、もともとは塘池(とものいけ)と呼ばれていたが、近くに新しい溜め池ができたので区別のために旧塘池と呼ばれるようになったという。
現地の案内板には「湯田ため池」との見出しが使われているが、鹿児島県のオフィシャルため池データベースでは堤高10mの「湯田旧塘池(ゆだふるともいけ)」名義で登録されている。
なお「塘(とう)」の字は川や池の堤を指す言葉であり、鹿児島では他地域にも「塘之池」という名の池があるので情報の混同が散見される。
また、ここ湯田旧塘池では、鹿児島南部の溜め池ではよく見られるお地蔵さんふうの「田の神」が鎮座しており「旧塘池の田の神」としてGoogleマップにもマークアップされている。
じつは過去にたびたび決壊歴があり、改修時に若い娘を決壊防止の願掛けとして堤に埋めたという人柱伝説が残されている。東日本ではしばしば目にする池の人柱伝説だが、この池は本土最南の人柱ではないか。
ただその後は決壊しなくなったらしく、平成の改修時にも従来の底樋や洪水吐が現代の安全基準にも遜色ない堅牢さで技術者を驚かせたといい、そのまま生かされているそうだ。
2022年春に訪れた際は完全水抜きをしていた。農家の人たちが作業をしていたのであまり近づくのを遠慮してしまったが、せめて底樋は見ておくべきだった。



 

人柱伝説のある怖い池たち

人柱に抽選で選ばれた娘が舌を噛み切って死んだという怖い言い伝えもあるその名も「舌喰池」(池名の由来については諸説あり)をはじめ、通りがかりに人柱にされた娘の呪いか、池に棲む魚がまるで荷物を背負っていた娘のように背中にこぶを負うようになったという三重県の竜ヶ池とか、通りがかりの尼さんを埋めてしまった埼玉県の姿の池とか、けっこう無茶苦茶な話が多い。
九州では宮崎の稚児ヶ池に人柱伝説があるが、この池の人柱は娘が定番の人柱界にあってはめずらしく男の子で、村のために自ら進んで人柱になったといわれている。
変わり種としては、人のかわりに猫を生き埋めにした兵庫県の猫池や、ニワトリを生き埋めにしたという池などもある。

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鹿児島の池にある「田の神」

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他地域の「塘の池」

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Googleマップ

マークした場所は、旧塘池の田の神。