秘境でキンギョが泳ぐミステリアスな山池
日本二百名山の奥羽山脈・焼石連峰の北端に位置する標高570mの頂上稜線上の山池。周囲長600mほどの湿原が周囲250mの湛水域をドーナツ状に取り囲む印象的な形態を持つ。
標高はそれほど高くはないが、のびやかに広がる稜線上にあるので「天空の池」感はなかなかのもの。まるでクレーター湖のようなみごとな形状にも惚れ惚れする。
夏にはヒツジグサの花が水面を埋め、そのすきまの水面下には赤い金魚が見え隠れし、この世と思えぬ光景。
湯川沼の景観と形態
県の天然記念物にも指定された浮き島
1mから数メートルほどの大きさの浮き島は、風が吹けば右に左に漂い、詩情を誘う。湯川沼の浮き島は岩手県の天然記念物にも指定。
下の写真では浮き島は右側の湖岸にくっついている。
湯川沼に生息するキンギョ(金魚)の謎
金魚は放流によるものか?
噂には聞いていたが、ほんとうにキンギョがふつうに泳いでいた。いつごろ誰が放流したのか、けっこうな数がいた。沼の下には温泉街があるので、昭和時代に話題作りの放流があったとしてもおかしくない。生息数や生年からすれば、すでに適応してこの豪雪地帯の環境のなかで繁殖をくり返しているものと思われる。
天然の固有種の可能性は?
全国的に見ても池や川に錦鯉を放流するのは日常的に行われており(多くの鯉も正確には外来種なのだが)、観光の目玉にする目的でグッピーを放流して定着してしまったような池も目にしてきた。
一方、全国的には退色した閉鎖湖の固有種のようなフナや在来の緋ブナが生息し天然記念物になっている池もある。一例を挙げる。
bunbun.hatenablog.com
bunbun.hatenablog.com
bunbun.hatenablog.com
錦鯉の幼魚も?
背中に黒い斑点のある個体も。体型がやや鯉のようにも見えるが、これまで湯川沼では錦鯉の報告はない。
調査継続!
いつかこの池でキンギョ釣りをして詳細を確認してみたいものだが、湯田町自然環境保全地域に指定されており動植物の採取が禁じられているので、町の許可を得る必要がありそうだ。
また、キンギョ釣りは意外に難しい。東京の老舗キンギョ釣り堀で腕を磨いておこうか。
湯川沼の全景(北岸から)
岸の形態
沼の流出口?
池の北西側に埋め込まれた塩ビパイプを発見。
ただし遊歩道を作るために盛り土をしたゆえの処置とも考えられるし・・。



湯川沼の空撮写真
流入河川も流出河川もなし。





映画『風の又三郎』ロケ地
草刈正雄主演の映画『風の又三郎』(1989年)ではロケ地にもなり、映画パンフの表紙を飾っている。
確認できた動植物(7月末)
7月下旬から8月にかけて水面をヒツジグサの花が埋める。
秋はブナ、ミズナラの紅葉。















湯川沼へのアクセス
クルマを降りてから二つの徒歩コース
鉄道駅のある錦秋湖から山腹にある湯川温泉までは快適な二車線路。温泉街から道幅がせばまり情緒が出てくる。奥湯の先からは家もなく、さらに狭い舗装林道に。(冬季閉鎖あり)
湯川沼への登山口は二ヶ所。いずれも往復1時間ほど歩く。下は沢コースで一周したGPSデータ。
沢コース
沢コースは往復50分。沼一周30分ほど。
下の空撮写真では右下に林道のヘアピンカーブが見えるが、そこが沢コースの登山口。谷伝いに目線を上げていった先の稜線上に沼がある。






案内板


Googleマップ
マークした場所は、沢コース入口の駐車スペース。