陸の孤島のような小さな半島の奥に残された、ため池と棚田と海が調和した日本の里の原風景は、観光化する前の能登半島の姿を思い出させるものがあって、感動的でさえある。
この半島は日本海に面した向津具(むかつく)半島。
半島の基部にあたるところには、日本ため池百選に選出された深田ため池もある。海、棚田、池という構成は同じ。
一方で耕作放棄地となって荒れ果てていく予兆もなくはない。もはや観光でしか生き残れない風景なのか。都会からの若い移住者が希望である。
山口の棚田20選にもなっている中ノ森地区の棚田を潤す主要な溜め池であるが、呼称について田代池、田代堰、田代堤と、3種類の呼び方がGoogle マップ、県の観光ページ、ハザードマップなどにちりばめられていた。
半島という限定的な地域で、池、堤、堰の三つの呼び方が混在しているとすれば、全国で他に例を知らない。
この地域で溜め池のことを「堤」と呼ぶ傾向は確認できるが、千葉県の房総半島南部で優勢な「堰」については、さすがにこの池以外には見あたらず、Google マップの誤植の可能性もある。




