まったりとした房総の田園の魅力が詰まった里池
過去にはヘラブナやブラックバスの釣り場として雑誌などで紹介されたこともあり、房総の田園に包まれ、まったりとしたのどかさをたたえた長楽寺堰。これぞ「里池」という表情がいいし、名前もいい。
七年に一度の割合で水抜きを行う慣例があるということで、2018年冬はそのアタリ年だったのか、あるいは洪水吐のコンクリートが新しかったので、その工事のためだったのか、訪れた際は底が露わになっていた。
江戸時代から地域を潤してきた溜め池であるが、房総半島では土地文化的に「池」のことを「堰(せき)」と呼ぶ。
隣の女ヶ堰と同じく、地形の特徴を生かして大がかりな堤に頼ることなく、うまく川を堰いて貯水池として活かしているところに、強く惹きつけられる。
長楽寺堰や女ヶ堰を見ると、ため池というものが法律上は「河川」に分類されているのもなるほどという気がするし、ため池のことをこの地方で「池」と呼ばずに「堰(せき)」と呼ぶのもうなずける。
水門ゲート部に駐車スペースあり。
2022年に迷惑駐車問題から吐き出し側の道路に車止めのチェーンが設置されたとの情報提供をコメント欄にいただき、2023年春に現地で確認したところ、釣り禁止措置までには至っていなかったものの、確かに駐車スペースへのクルマでのアクセスができない状態になっていた。また、ペットボトル等の投棄ゴミを集めた場所もあった。池の管理者の嘆きがうかがえる。池を訪れるビジターは近くの道の駅などを利用するなど、長楽寺堰の良好な環境維持のために配慮いただければうれしい。