水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

黒姫山の七ツ池(長野県信濃)

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成層火山である黒姫山(標高2,053m)の頂上火口原の中に、七ッ池湿原と峰ノ大池がある。
湿原の標高は1,800m。高さ200mほどの外輪山がすり鉢状のようにこの天空庭園を取り囲む。
そして悲しき黒姫山の名。
蛇体に変化(へんげ)した姫が里を離れ山奥に逃げ、人界と決別すべく大切な化粧道具を捨てたところが、この七つの池になったという伝説が残されている。
当の姫が身を投げたという峰ノ大池と隣接するが、池との間には樹林帯が横たわっている。
ふつうであれば池と湿原は地つづきになりそうなものだ。樹林帯がなぜ七ツ池のある湿原を呑み込まず、まるで怖れを抱くように湿原を侵さない理由が、地形を見るだけでは理解できない。
まるで姫の大切な化粧道具を守るかのように、今も七ツ池湿原は確固たる存在感でたたずんでいる。

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手前に七ツ池湿原。奥に峰ノ大池が見える。
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