水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

伊計島のファームポンド(沖縄県うるま)

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海中道路で沖縄本島とつながっている宮城島を横断し、さらに海峡に渡された橋を渡ると東端の伊計島に上陸できる。
この島の平地にはタバコの農地が広がっている。農地をかんがいする池があるのでは、と思い探してみると島の東側の海岸近くにファームポンドがあった。
湖周長は500mクラスとけっこう大きく、護岸は黒々としたアスファルトフェイシングで鎧われているが、池底は草原のようになっていて肝心の水がない。
お隣の宮城島のファームポンドがなみなみと水を湛えていたので、季節的な事象ではなく、しっかり根づいた草の生え方を見ても、これが常態のようである。まるで都市部で見られる調整池みたいだ。しかしこんな農地の端に調整池を造るとは考えられないので、やはり貯水池なのだろう。
よく見ると貯水池は高さの違う二つの枡で構成されている。高い方の枡はかなり小さいが水を湛えている。この貯水枡とは道をはさんで水路と鉄製の導水管もあった。
ヒントは池畔に立っていた看板にあった。
草原になっているところの多くは集水ゾーンで、降雨時に面積にものをいわせてとにかく水を溜める。水を通しやすい土壌なので、すかさず溜まった水を3台のポンプで汲み上げ、上のコンクリート製の貯水枡に入れる、というような構造のようである。

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小さい方の枡には、水が溜まっている。右側の原っぱは大きい方の枡。


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大きい枡の護岸はアスファルトフェイシングか。


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スロープ、導水路、ポンプ施設のようなものも見える。


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タバコ畑。


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伊計島のビーチ。



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海中道路。


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伊計島と宮城島で見られたファームポンドの二段階構造は、集水ゾーンと貯水ゾーンをポンプでつなぐことで、天水を少しでも無駄にしないための涙ぐましい知恵のようでした。
ヒントとなったのが下の看板です。
流入河川がない小さな島では天からの降雨だけが頼りなのだと、実感させられた池でした。


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