水辺遍路

実踏・日本の湖沼 9,000湖

宮古列島の島池さんぽ(沖縄県宮古島)

f:id:cippillo:20200521105230j:plain

五つの島を橋でめぐれる島池さんぽ

宮古島は東京からも直行便があるなど、絶海の離島とは思えぬ抜群のアクセス性。観光設備も洗練されており、夜の飲み屋街も明るくにぎやかで、離島にいる感じはあまりしなかった。
宮古島を本島とし下地島、伊良部島、来島、池間島の四島が橋で結ばれており、気軽に五つもの島の池めぐりが楽しめる。
島池めぐりをしてみると、この島ならではの特殊な水事情と工夫が見えてきた。

f:id:cippillo:20210116072041j:plain
シギラ黄金温泉ジャングルプール

 

大きな山も川もない台地ゆえの水事情

沿岸部は珊瑚礁の観光スポットの連続でにぎわいがあるが、一歩、内陸に入れば農地と水利施設が静かに広がる。
島にはおもだった山や川はなく、スポンジのような土壌なので溜め池は造れない。これが世界初の地下ダムが宮古島で生まれる背景となった。
地下ダムに蓄えられた農業用水は、高台に設けられた配水池(宮古島では「ファームポンド」と呼ばれている)にポンプアップされ、導水管、水路で農地に配水される。地下ダムからの配水は宮古島本島だけでなく、橋で接続する島の配水地にも送られている。
農地のところどころに石垣で護岸された掘り込みタイプの池が多数ある。これらの池は例外なくフェンスで囲まれ立入禁止となっている。
堀込池には沈砂池、貯水池、浸透池の3つの機能があるようだが、草木に埋もれている池も多く、見た目でどの機能を担った池なのか区別することは難しい。
上水道は宮古本島の地下水を汲み上げ浄水、硬度低減処理を経て、配水池へとポンプアップされている。水源地上部に農地が多いため、肥料、家畜の糞尿による水質悪化の懸念もある。

f:id:cippillo:20200322233131j:plain
上水道配水池(宮星配水池)


 

宮古本島

世界で初めての地下貯水池。「地下ダム」の聖地。

ダムや溜め池を造れるような山と川のない宮古島では、世界で初めて地下ダムというじつにユニークなシステムを採用。
地下に幾筋にも横たわる不透水層の谷を堰き止めることで、スポンジのような琉球石灰岩層に水を貯めようという発想である。
降水量のじつに4割を蒸発で失っている宮古島では、絶妙のシステムで、宮古島以外の島でも採用されている。

地下ダムに水を送る「浸透池」

浸透池とは河川敷や水源地に掘り込んで水を引き込み地下浸透させるもの。洪水調節機能もあり一石二鳥。

f:id:cippillo:20200309152432j:plainf:id:cippillo:20200309152303j:plain
砂川地下ダム近くの浸透池


 

農地に水を配るため高台に置かれた「配水池」

地下ダムで集められた水は地上の農地に配水するため、丘陵など標高が高い位置に設けられた大型のタンク式配水池に地下水路とポンプによって送水。そこから自然水圧によって随時、農地に配水している。
農地ごとに直接、地下水を汲み上げるよりも効率的なので、地下ダム、ファームポンド、貯水池と揚水機場、圧機場、そしてそれらを結ぶ地下水路と開渠用水路を組み合わせた大規模なかんがいシステムが国営事業として今も拡充、進められている。
タンク式の配水池を宮古島では「ファームポンド」と呼び、来間島を含めた6ヶ所に設けられ、それぞれ名前も付いている。

f:id:cippillo:20200309140508j:plain
ピンフ岳ファームポンド


 

表土の流出を抑える「沈砂池」

宮古島や伊良部島の農地のところどころに点在する掘り込みタイプの池。石垣で護岸されているものも多い。
同じような外観の掘り込みの池でも、貯水池、浸透池、沈砂池といった役割のバリエーションがあるらしく、常時湛水の有無が見分けるポイントになるが、木々に埋もれてしまっているものも多く、外観で見分けるのは難しい。
池底に降りるスロープと池を囲うフェンスが共通要素。
宮古島本島ではドギツい共通看板も見られる。

f:id:cippillo:20200309152303j:plainf:id:cippillo:20200310103553j:plainf:id:cippillo:20200310102718j:plain


 

下地島には、宮古島のテッパン池が

池としては全国屈指の観光池で、観光パンフレットにも必ず載っている通り池は、空港のすぐ隣にある。
タイプとしては天然のドリーネ陥没池だが、近くに鍋底池をはじめ同様の池が複数見られる。

f:id:cippillo:20200521131208j:plainf:id:cippillo:20200521133917j:plain

bunbun.hatenablog.com
bunbun.hatenablog.com



 

池間島には沖縄県最大の湿原

島名に「池」がつくだけあって、島の真ん中にでんと湿原をたくわえた池がある。漁港を整備してから池が湿原に呑み込まれるように消失してきたことから、2020年現在、対策工事が行われていた。

f:id:cippillo:20200309132638j:plainf:id:cippillo:20200309132503j:plainf:id:cippillo:20200309132509j:plain
bunbun.hatenablog.com


 

来間島のファームポンドは加圧用

来間島は宮古本島からパイプラインで給水を受けており、加圧用のファームポンド一基と掘り込みタイプの池が数基ある。

f:id:cippillo:20200310102509j:plainf:id:cippillo:20200310102718j:plain
来間島の配水池(ファームポンド)と掘り込み池
bunbun.hatenablog.com


 

伊良部島は宮古本島より導水

伊良部島では宮古島本島の新設地下ダムからパイプラインで新しい配水池に導水する島越しのプロジェクトが進んでいる。(2020年現在)
島北部には周囲900m級の大きな貯水池もあり、配水池(ファームポンド)と連携運用されている。
宮古本島に渡る長大な橋のたもとには、巨岩の下にあるヤマトブー大岩の池(仮称)も。

f:id:cippillo:20200323000445j:plainf:id:cippillo:20200323000439j:plainf:id:cippillo:20200323000451j:plain
伊良部島の配水池

bunbun.hatenablog.com


Google マップ