海南野池群のなかでも特に味わい深い溜め池が点在する林道野尻線沿いにある。
新池という素っ気ない名ではあまりにもったいないので、識別上の理由から水辺遍路ではこの池を「野尻林道の新池」と呼ぶことをお許しいただきたい。
何という静寂。そして滋味のある水の色。そして迫り来るような生き物の気配。今や日本の野池ですっかり肩身の狭くなったブラックバスも、ここでは悠然と泳いでいた。
改修され水抜きもされた管理の行き届いた野池も悪くないが、コンクリート洪水吐やスピンドル取水パイプもない野池の、得体が知れないものが潜んでいそうなワイルドさもまた魅力である。
