上郷温水路群。
ちょっとめずらしいタイプの土木遺産。
雪解け水を水源とする北国では、冷たい水を農業用水に適した温度にあたためる目的で造られた温水ため池というものがある。ため池100選に選定されているものでは、美幌温水溜池(北海道美幌)、御射鹿池(長野県茅野)、菅大平温水ため池(長野県木曽)、荒神山ため池(長野県辰野)の四つがある。
一方、貯水方式ではなく、落差工、ありていにいえば小さな人工滝を幾段にも連ねることで、同様の効果を得ようとする知恵があるということを、ここで初めて知った。日本初の温水路群ということである。
河川に造られた落差工の数のすさまじさは航空写真を見れば一目である。
池と思って立ち寄ったのは浄水場であったが、近くにこの落差工があり、思わぬ収穫だった。
この上郷温水路群は、土木遺産に認定されている。