世界遺産の池群を悠然と見おろすのは、強引なまでに人工的な溜め池だった
世界的な観光池となった忍野八海がある忍野村。
北と南を山にはさまれた地形にある盆地の扇頭という絶好の溜め池の立地にあるこの池は昔から気になっていたが、何度訪れても忍野八海の域をなかなか踏み出すことができなかったが、このたび、ようやく会いに行けた。
不思議な池である。扇頭の溜め池はこれぞ溜め池といった地域のシンボル的な顔をもつものが多いが、忍野ため池から感じるのは、地形にとらわれない、ただただ、あっけらんかんとした人工感。立地とのアンバランスさが妙に心をしくしくさせる。
単純に貯水だけを目的とした溜め池ではなく、北海道や長野県でよく見られる温水ため池のようである。
インレット側には数段のサブ池があるのも、この池の強い個性。冷たい沢の水を最初に受け止める池とあって、数段階の池を通して水を温めるということだろう。
池自体はフェンスに囲まれて立ち入りはできないが、遠巻きに道が池のまわりを囲んでいて、なぜか若い外国人男女、といってもカップルとか集団ではなく、おのおのが単独で無言でウォーキングをしていたのが印象に残った。
駐車場にいると古いハイエースがトイレに横付け。何かと思ったら若い外国人女性陣がざざっとトイレに入り、出てくるや去っていった。
あれは何だったのだろう。不思議な後味を残した池だった。
駐車場、トイレあり。
マークした場所に駐車場とトイレ。