こまがたけだむ。
ブラウントラウトと池ごはん
農業用水専用の貯水池で重力式コンクリートダムが堰く。周辺の鳥崎渓谷八景という8箇所の景勝は紅葉の名所。
ブラウントラウトをはじめ、各種トラウトの魚種豊かなライズも見られる。一方で、ブラウントラウト放流禁止の看板もあり、外来魚の問題がここにも。
ブラウントラウトは四国生まれの私にとっては憧れのカッコいい魚だったが、ここ北海道では本州の感覚でいうブラックバスみたいな感じの外来性の害魚扱かいで驚いた。
2014年の初訪時、ダム湖周辺の渓で適当にスプーンルアーを通してみると、大きな黒い影がチェイス。一度見切られたら二度と出てこなかったが、ここ数年でいちばんドキドキした出来事だった。
2021年は再訪でありながら、初訪のダムと勘違い。昔は一度見た池は忘れなかったのに、記憶力の低下がひどいとはいえ、道南屈指の名ダム湖にいることに気付かずに、うーん、これはいいダム湖だ、なんて嘯いていたことがなさけない。
ホーホーという無気味な鳥だか鹿だかの声と、まわりを飛びまわる虫の羽音以外は何も聞こえず、ひとけもない。静まりかえる湖面。
こんなときは、池ごはん。通りがかりの地元スーパーマーケットで買った総菜なんかを、人のいない池で食べる。いくら無人とはいえ、公共スペースの駐車場などではカセットコンロの煮炊きでさえ厳しい時代なので、電子レンジ調理や湯沸かしポットなどの電化を進める決意を強めた。
湖面を見ながら、ごはんを食べていると、ときどき、ひゅうっと吹き下ろす風がつくる波に呼応するかのように、魚が水面を割っていくつも波紋をつくる。釣り竿を出してみることにした。
しかも7年前に釣りをしたのとまったく同じ場所で、それと気付かずに竿を出していた。
二投目には早くも魚がかかった。こぶりではあったが憧れのブラウントラウトだった。その後、ほどなくもう一尾追加して納竿。はからずも七年前のリベンジとなっていた。
マークした場所は湖岸駐車場。