水辺遍路

実踏・日本の湖沼 8,850湖

中郷御池(長野県飯田)

なかごうおいけ。

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御池山クレーターを中心に中郷御池と程野御池を描いた。クレーターの外縁の西側3分の1ほどが山の稜線となっている。御池への登山道はこの尾根上を通っているので、クレーターの外縁を歩くことになる。御池のはるか下の谷には、転がり落ちた巨石が神として祀られている(平成おちんの神と中郷の流宮岩)

 

日本で初めて発見されたクレーターを抱く山。その名は、御池山。

深い谷あいの集落に遅い朝陽が届くと、屋根屋根の鈍い光沢が力を帯びはじめ、路地にわだかまった冷気を追いたてながら朝の光が滲み渡っていく。
日本のチロル」と呼ばれる下栗集落の一日はこうして始まる。
日本の里100選にも選定されている下栗の里と、白樺の梢をくぐる風さわやかなシラビソ高原をつなぐスカイライン「南アルプスエコーライン」は、標高1,900mを越える稜線上を走る絶景林道。シラビソ高原から尾根の左肩を数キロ進んで行くと御池山クレーターの案内板と駐車場がある。
日本で初めて発見されたクレーターであり、学術的に国際機関から認められた国内唯一のクレーターということだが、正直なところ、現地に立ってみてもピンと来ない。
駐車場から御池山への登山道が稜線上を伝っているが、この稜線ラインの一部が、言われてみれば、きれいな弧を描いている。地元の高校の先生が十年以上かけ、執念で隕石衝突の証拠となる物質を見つけたという話である。
クレーターの縁を歩き渡って進むと、山頂手前100mあたりに御池への分岐に道標が立っている。登り側を行けばほどなく御池山山頂。下って行くと数百メートルで池のほとりに出る。
御池山というだけあって古くからの天然の池なのかと思っていたら、最近見つけた長野県の資料で、「中郷御池」という呼び名とともに、次のような文章が。(太字は筆者施す)

池山山頂近くにある標高 1784m 周囲150m ほどのため池です。
池の水は、春先になるときれいな雪解け水が池の縁からあふれるほど満々とたまる。
渇水期になると池の中心部に濁った水をわずかにたたえるだけで、泥沼の底が広がる。
この極端な水量の変化は、池の形成の仕方を物語っている。中郷のお池は、山体の滑り面の先端に生じたため池である。
(中略)
古くから雨乞いの神様として知られています。


「ため池」と書かれていたので、山頂近くにどういう事情で溜め池を造る必要があったのかと色めきたったが、地形を何度も見直したが、人の手による堤構造らしきものは見あたらない。
地形や立地からして、私にはどうも溜め池には見えない。土砂崩れの結果生まれた天然の堰き止め湖ではないかと思うが、次に行く機会があればじっくりと確認してみたい。
また、中郷御池の下、急斜面を谷底まで下ったところには、中郷の流宮岩と、平成おちんの神という巨岩が祀られている。土砂崩れで山の上から転がり落ちてきた巨石ということである。また、ここ中郷御池のほか、雨乞い信仰のあった御池としては、もうひとつ程野御池という池もあり、再訪の楽しみが増えた。


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中郷の御池(2013年撮影)


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日本のチロル。下栗の里


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シラビソ高原


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御池山クレーターの駐車場から尾根道を進み、御池山山頂へ


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案内板
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マークした場所は駐車場。