水辺遍路

実際に行った池やダム 9,800ヶ所を掲載

姫ノ池(新潟県魚沼)

f:id:cippillo:20211023081030j:plain
標高2,080m! すごい天空の池感。奇跡のような地形だ

その名も、池ノ岳!

百名山の中でも、もっとも道程が長くてハードともいわれる平ヶ岳。
その9合目あたりだろうか、地図に「池ノ岳」なる山の名を見て小躍りしてしまった。
ここ越後魚沼の山群には、八海山の五合目に「池ノ峰」、越後駒ヶ岳の尾根筋のひとつには「池ノ塔」という小ピークがあるのは知っていたけど、ここ平ヶ岳の9合目に新たに「池ノ岳」を見つけて、ひとり悦に入ってしまった。いずれも百名山という贅沢な庇護者のもとに、池を冠する三つの山が集っている。
越後にこもって一週間になろうとしていた。

池ノ岳の頂上に、キター! 姫ノ池

池ノ岳。その名のとおりテーブルトップ状のフラットな頂上に姫ノ池をはじめとした池塘群を戴いている。
平ヶ岳登山は往復10時間から12時間ほど。途中、避難小屋もトイレさえもないとか。
これ、行くんかあ・・。もうちょっと体力とか体勢を整えてからかなあ、と、とりあえず登山口の下見だけのつもりが、この登山口までのクルマの行程があまりに長すぎて萎えた。もう一回、ここに来るのはつらすぎる。もうやってしまおうと、登山口にそのままビバーク。
翌朝、暗いうちから次々と6組ほどの他の登山客が出発するのを待って、後方からスタート。というのも、熊が怖くて。


 

姫ノ池へのアプローチ

鷹の巣登山口

駐車場、バイオトイレ、登山カードポストあり。
百名山とは思えない地味さが好きです。バイオトイレもすごいと思った。スクリューでこねる感じが。分解っていうか自然に還ってる〜感がいい。

f:id:cippillo:20211022190251j:plain
f:id:cippillo:20211022190226j:plain

ヤセ尾根

しばらく歩くと、次々と現れるヤセ尾根。これ、ホント怖い。
四つん這いで進んだけど、それでも怖い。疲労した状態で帰りもここを通るのかと思うと、ゾッとする。

f:id:cippillo:20211022205452j:plain

f:id:cippillo:20211022205430j:plainf:id:cippillo:20211022205419j:plain
f:id:cippillo:20211022205441j:plain

見えている山はただの前山だった

尾根歩きなので歩きながらの眺望はずっと良好。ただし目の前に見えている山は、あくまで前山。めざす平ヶ岳は一度も見えない。しかも、登山中、そのことに気付いていない。あそこまで登れば、なんて甘いことを考えている。
前山の稜線に着くと、アップダウンで稜線歩き。眺望は最高。
しばらくして、はるかかなたにめざす平ヶ岳がちらっと見えた。

f:id:cippillo:20211022190629j:plain

f:id:cippillo:20211022210557j:plainf:id:cippillo:20211022210610j:plain

平坦ルートが長い

ここは山のいったいどこなのだろう。水場から先、ときどき木道をはさみながら、視界のない樹林帯の平坦ルートが延々とつづく。
この森を抜けると、やっと目前に平ヶ岳の斜面が。急登だけど、ああ、池ノ岳が近づいてきている実感。

f:id:cippillo:20211022205408j:plainf:id:cippillo:20211022205356j:plain

急登の先に楽園が

登山ルートは池ノ岳を這い上がってから、横にスライドする感じで平ヶ岳山頂へ通じるイメージ。なので池ノ岳への最後の急登区間はつねに横に平ヶ岳の丸くやさしい頂上が励ましてくれる。
岩や礫の急登を這い上がると、笹とシラビソの間を抜けるフラットな回廊。これが池ノ岳。少し進むと天空の湿原が広がった。

f:id:cippillo:20211023074403j:plain

f:id:cippillo:20211023074428j:plainf:id:cippillo:20211023074415j:plainf:id:cippillo:20211023074154j:plain
f:id:cippillo:20211023074349j:plain


 

池ノ岳の山頂湿原

奥に見えるのは平ヶ岳。木道を進むと、姫ノ池の展望デッキと分岐がある。

f:id:cippillo:20211023074250j:plain

f:id:cippillo:20211023074240j:plainf:id:cippillo:20211023074229j:plainf:id:cippillo:20211023074206j:plain


 

姫ノ池

オタマジャクシを確認。

f:id:cippillo:20211023074336j:plain

f:id:cippillo:20211023074324j:plainf:id:cippillo:20211023074313j:plainf:id:cippillo:20211023074206j:plain
f:id:cippillo:20211023074301j:plain

姫池分岐

姫ノ池には、平ヶ岳山頂方面と卵石方面への分岐がある。

f:id:cippillo:20211023074217j:plain

 

空撮

f:id:cippillo:20211023081051j:plain

f:id:cippillo:20211023081043j:plainf:id:cippillo:20211023081039j:plainf:id:cippillo:20211023081035j:plain
f:id:cippillo:20211023081047j:plain


 

帰路で熊に!

2021年は人生で初めて野性の熊を見た。青森県の山奥のダム近くで、道の前方で黒い物体が藪に逃げていった。クルマからほんの数秒、見えただけだったが、とにかくマックロ! というのが強烈に印象に残った。美しいほど黒かった。子熊より少し大きいぐらいの小型の熊だった。
そして何と、同じ年にまたもや。しかも今回は下山中に生身で!
熊が怖くて数組の登山者に先行してもらっていたが、帰路では先頭に立ってしまった。正確にはトレイルランナーがこの日の下山先頭だったが、かなり先行していて私との間に距離があったようだ。そんなわけで、下山する集団の事実上、先頭を自分が歩いていることに気付かず、熊除けの鈴なども持っていなかった。
アメリカ製の強力な熊スプレーをネットで購入していたのだけれど、出発時には配送が間に合わず、妻と落ち合うときに持ってきてほしいと頼んでいた。
水場近くにさしかかったとき、ガサッと藪が鳴った。警戒して歩みを緩め、周囲の気配に神経を張り巡らせたとき、ドドッと地響きが空気を振動させ、左のヤブごしに目尻が捉えたのは、黒に白が入った大きなものがザザーっと水平移動。
ヤブの中を平然と疾駆できる黒い軽トラみたいなイメージ。ドドっという地響きは耳に焼き付いた。自分で何度も地面を蹴って、ドドっという音がしないか試してみたが、あの重厚な音は再現できなかった。今も腹に響いたあの振動が焼き付いている。
翌日、魚沼の駅にピックアップしに行った妻が、熊スプレーを手渡してくれた。あのとき、これを持っていたら幾分は心強かったかもしれないが、それにしてもつくづく熊という生き物はスゴイと思った。
あれほど大きく圧倒的に強いのに、生意気そうな人間をからかおうともせずに、あれほど全力で逃げるのだ。無用なトラブルは、全力で避ける。そこの妥協のなさが、ドドっという地響きとともに心にしみいった。


※カウンターアソールトは類似品が多いので注意。噴射9.6mの標準モデルと、12mのストロンガーの二種がある。いざというとき、サッと出せないと意味がないので(今回、実感)、ホルスターおよび早撃ち訓練も必須。


 

池までの登山データ

姫ノ池は平ヶ岳の9.5合目。

f:id:cippillo:20211022190623j:plainf:id:cippillo:20211022190635j:plain
f:id:cippillo:20211022191238j:plain

 

Googleマップ

マークした場所は、姫ノ池の展望デッキ。