【よのいけ / 野々入の池(ののいりのいけ) / 一夜池(ひとよいけ)】

一夜のうちにとつぜん現れたという伝説の池
夜の池(よのいけ)とはまた何とも魅力的な名である。ほかにも「一夜池(ひとよいけ)」、「野々入の池(ののいりのいけ)」という呼び名もあり、いずれも土地の強い気を感じずにはいられない。
百名山・美ヶ原の東側の山間にある湖面標高990m(GPS計測値1,000m)の池。
池のまわりはめぼしいダム湖や湖沼も見あたらず、山あいの地にぽつんと孤立するたたずまいにも惹かれる。
池の下には山にはさまれた農地が野々入川に沿って麓に向かってのびている。池には水門もあったので、ため池としての機能ももっているようだ。昔は生活水源になっていたとも。
池の成因はその名が示すように、土砂災害で一夜のうちに生まれたとされる。
夜の池の地形と形態の考察
野々入川と池の頭山(空撮)
池の頭山の土砂災害によって生まれた一夜の池だが、野々入川自体が堰き止められたわけではなく、河岸段丘上の山裾に立地する。

池の下側の農地(空撮)

池の上流側(空撮)

夜の池と池の頭山(空撮)
一夜で生まれた池の地形的証拠を見つけたいものだが、土砂崩れor地すべりの痕跡と池との関係はちょっと分からなかった。
ただ池には複数の小さな沢が流れ込んでいるようにも見える。下の空撮写真で左手が流れ込み側、右手が吐き出し側となる。

流れ込み側
流れ込みのひとつからは沢水の清涼な音が聞こえた。


吐き出し口と水門
吐き出し口には水門が設けられ、一定の水量を持った流出入河川があることから、地すべり陥没湖というより、土砂堰き止め湖の可能性が高そうに思えた。




流出水路
流出河川は用水路化されている。

2026年と2017年の比較
左が2026年5月、右は2017年。
池の比較としては沢水といっしょに流入する土砂の堆積で全体的に浅くなっているように見える。人物のビフォーアフターにもなっているが、池の写真の撮り方もちょっと上手になっているかと思ったが、これはスマホカメラの性能の向上だった。


2017年の夜の池
2026年に比べて深そうに見える。




夜の池の池伝説
蓼科山の赤沼を追い出された河童(カッパ)が、この地に逃げてきて一夜で池を作って移り住んだという池伝説がある。
ヌシのいなくなった赤沼の方は霊力を失い消失の危機にあったが、人の手による改修を経て現在は女神湖として生まれ変わったが、カッパがいつも腰掛けていたという岩は今も池畔に残っている。

夜の池の設備
観光的要素は少ない
観光的な見どころといえば、吐き出し部にある赤い太鼓橋と祠のある島、そしてアクセス路入口にある案内板と河童像ぐらい。

祠のある中の島
大小の祠の中には、紙垂(しで)がていねいに納まっていた。土地の人がいまだに大切にしているのが分かる。


生息魚類と植物
イワナと鯉が生息
2017年および2026年に鯉の群れを確認。イワナが生息するというが魚影は確認できず。釣りは禁止。



池底は糸状藻が優勢
2026年5月撮影。




夜の池へのアクセス
県道からダートのアプローチ路を60mほど進むと池が現れる。池のさらに奥には農地や民家もあるが軽トラ規格なのでマイカーでの進入はやめた方がよい。駐車場なし。
公共交通機関はコミュニティバスのバス停が近くにあったが本数など不明。


