水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

光前寺の池(長野県駒ヶ根)

池畔にそびえる霊犬・早太郎像と三重塔

愛犬家必参! 犬界のスーパースター「早太郎」の池。

伝説の霊犬・早太郎。
山犬の血統に生まれ、はるか遠州の妖怪たちにまでその名で畏怖された犬界のスーパースターである。
ここは信州の古刹、光前寺の境内。山門から長い参道を進んだ突きあたりに池はあった。長年の早太郎ファンとしては、池畔にすっくと早太郎像がそびえるこの池にはシビれっぱなし。取り囲む木々もまっすぐ天を突き、強力な波動が立ち上っていくような爽快さに、思わず足どりも軽くなる。
ぜひとも「早太郎池」という名であれかしと心で祈りつつ、案内板を見るも、無常にも「池」と記されているだけで、特に池名はないようだった。
早太郎をご存知ない方は、何よりもまず早太郎が活躍する懐かしのアニメ『まんが日本昔ばなし』をご覧あれ。その完成度の高さ、子ども向けと思えない。



www.youtube.com




 

池を泳いでいたのは・・

池は荘厳で見ごたえがあるだけでなく、早太郎のような慈愛を感じずにはいられない寺社池であるが、そこに泳いでいたのは何とイワナ!!
水路がめぐらされ、鈴のような清冽な水音。そんなせせらぎには、艶やかな錦鯉が尾ヒレをはためかせている。
池でまったりしているのがイワナで、せせらぎを掻き分けているのが錦鯉・・なんか逆では? と思いつつも、これも霊池の恩寵であろうか。
お恥ずかしながら最初にイワナに気付いたのは妻だった。
小さなせせらぎをまたぐ石橋の上で立ち止まった妻が言った。
「この魚、鯉じゃないよね?」
魚影を見逃さないことついては自信があったにもかかわらず、ごく小さな水路の壁、しかも日影になっている場所に、じっとしている巨体の魚に気づかなかった。
尺上(しゃっかみ・30cm以上の魚のこと)はあろうか。
橋のすぐ下にもかかわらず、われわれがあれこれ言いながら見ていても、微動だにしない。わずかに水流に合わせて、ひれを動かしているので魚だと認められる程度。
なんであろう、このヌシ感は。
日陰でよく見えないが、目を凝らすと二つの胸ビレのエッジが白く縁取られている。じっと見つめていると幻惑されて、目眩がしてくるぐらい、くっきりと鮮やかな白さ。のぼーっと丸太のような魚体は一見、鯉に見えなくもないが、違う。
「イワナかな?」
と言うと、妻はきょとんとしている。じつは妻はイワナを知らなかった。あとで分かったのだが、妻は「岩魚」を「イワナ」と読むことを知らず「いわざかな」と思ってこれまでの人生を生きてきたらしい。驚きである。
写真を何枚も撮ったが、家で確認すると一枚も魚影を捉えたものはなかった。わずか2mの距離、しかも相手は終始じっと動かないにもかかわらず・・。
一方、あらためて池の方に目をやると、そこかしこで20センチぐらいの中型イワナが何尾も悠々と泳いでいた。イワナがいると認識すればイワナと分かる。しかし、あのヌシのような尺上イワナを皆さんにお見せできないのは残念でならない。


岩魚の魚影(写真中央あたり)


錦鯉の魚影


 

犬にゆかりのある全国の池

それほど数があるわけではないが、愛犬家ならワンちゃんとともに参詣してほしい池が全国にいくつかある。
霊犬が堤の決壊リスクを村人に伝えた津幡池(石川県津幡)。
住職の使いを忠実に行なっていた忠犬が、誤解を与えるミスリードのために命を失なう悲話が残るその名も犬塚池(愛媛県今治)。
里見八犬伝のヒロイン伏姫が篭ったという洞穴が近い合戸堰(千葉県南房総)。
そして福岡最高峰のミステリースポット犬鳴ダム。
その名に触発され、犬神伝説と映画化された坂東眞砂子『狗神』へと脱線してしまった犬神ダム(福島県白河)。
話がだんだんおかしくなっているが、横溝正史原作の映画『犬神家の一族』でポスターにもなった衝撃的な湖畔の映像は、青木湖(長野県大町)だった。

bunbun.hatenablog.com
bunbun.hatenablog.com
bunbun.hatenablog.com
bunbun.hatenablog.com
bunbun.hatenablog.com


実家にいる黒柴犬のマリくんにも会わせたい。随喜の失禁間違いなし。霊犬、早太郎サマの像。山犬の血を引いているという


 

池の構造

流れ込みは滝


吐き出しは板止め


 

景観



 

案内板と駐車場



 

Google マップ

マークした場所は駐車場。