水辺遍路

訪れた全国1万1,700の池やダムを独自の視点で紹介

麻生池(福岡県八女)

【あそういけ】

「池の山」に寄り添う福岡最大の天然湖

八女(やめ)の山中、標高310mに立地する湖周長700mの天然湖。2026年時点で誰も言っていないのでちょっと不安になるが、天然湖沼としては福岡県最大。というか、県でほとんど唯一の天然湖かも。
いにしえの領主にも信奉されてきた霊験あらたかな水神が祀られており、現代においてもキャンプ場や温泉ホテルのある「池の山」として親しまれている。
オグラコウホネ自生地として福岡県の天然記念物に指定。


麻生池の構造と形態

九州北部でもっとも標高の高い天然湖沼

麻生池の湖面標高は310〜320m程度ではあるが、福岡県、佐賀県、長崎県、大分県を合わせた九州北部において天然湖沼としては、もっとも高い。
福岡には標高780m前後にある衣ヶ池という弘法大師伝説のある池があるものの、これを天然湖と呼べるかというと形態や規模的に厳しい。

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火口湖説と断層湖説

麻生池の成因については水蒸気噴火による火口湖説と、地殻変動による断層湖とみる説があり、公式には確定していない。
池を見てまず、申し訳ないけど火口湖には見えなかった。地形から地殻変動というより、シンプルに地すべりによって生じた断層湖に見える。似たような形状の地すべり断層湖は全国でいくつも見てきた。下の図のように地すべり頭部の池の特徴を備える。


参考サイト:土と水 第42号

bunbun.hatenablog.com

地形

池の山(地理院地図)

星野村を見おろす標高700m級の山塊の中腹には、標高332mの「こぶ」のような山と、それに寄り添う麻生池があることから、古くから「池の山」と呼ばれてきた。


池の山(パノラマ写真)

対岸から見やるとこんな感じ。正面の山が標高700m級の山塊で中腹のかなり右の方に見えるグラウンドの上あたり、不明瞭ながらもっこりしたところが池の山。その奥に麻生池がある。



池の山(空撮)

やっぱ、じすべってるっぽい。けっこうデカくいってません? このアングルで見ると。それにしても、池の上の茶畑の農薬、大丈夫かな。


堰き止め部に見えなくもない箇所

下の写真で左側に池がある。道路はゆるやかに下っており右には沢。この道が堤状になっていると見えなくもない。堰き止め湖という第三の可能性はないだろうか。


流れ込み

湖周遊歩道に橋が架けられている明瞭な流れ込みは、バックウォーター側のここ。

バックウォーター側シャロー

流れ込みと八ツ橋のあるあたりはシャローになっており、ログハウスが立ち並ぶ。
もっとも、全体的に浅い池ではある。底に根を張ったオグラコウホネの葉柄(ようへい)が水面に届くぐらい浅い。
もっとも、この葉柄(ようへい)、すごく長い。

バックウォーター上の茶畑

このすぐ上、段丘上には池よりも広い面積の茶畑が開墾されている。池への流入経路上にあるので、茶畑の農薬が希少なコウホネに影響しないか心配な立地ではある。

吐き出し部(水門)

天然湖沼なのに水門付きの吐き出しがあるということは、利水されているということだろうか。

池底の地質

写真は池尻側のもの。砂礫に石が混じる。角は少しとれている。

中の島

島は木杭タイプの擬木護岸で固められており、弁財天が祀られている。島に立つお堂の建築は屋根が異様に大きく、とっても個性的。でも台風でも壊れたことがないんだとか。



有力な成因「地すべり説」

北海道地すべり学会が発行している「地すべり北海道41」(2022年11月)に、麻生池について以下の記述があるのをaiが見つけてくれた。ただ根拠としている文献が不明。

麻生池は、福岡で最も標高の高い自然湖で、干ばつでも水が枯れたことがないことから、水神としての信仰が厚く、地域住民の方からも大切されているそうです。
麻生池の成因として、火山の噴気孔の跡に水が溜まったとされる火口湖説と地殻変動で形成された断層面に水が溜まったとされる断層説の二つが提唱されてきましたが、近年では池が十籠地すべりの頭部にあることから、地すべりによって形成された線状凹地に水が溜まったとされる地すべり説が有力であるそうです。

https://www.hols-net.com/img/kouhoushi/jisuberihokkaidou41.pdf

 

麻生池の魚類、動植物

オグラコウホネ(福岡県天然記念物)

「麻生池のオグラコウホネ自生地」として福岡県の天然記念物に指定されている。
池底に張りめぐらされた地下茎(根茎)が、湖底に落ちた白骨のように見えることから「河骨(こうほね)」の名が付いたという。コウホネ自体は全国的に見られるが、水面にまで達する中空構造の葉柄(ようへい)が1m以上にもなるオグラコウホネは絶滅危惧種。
巨椋池(おぐらいけ / 京都府)で発見されたのが名の由来であるが、そもそもの巨椋池自体が干拓で消失している。


bunbun.hatenablog.com

野鳥


 

麻生池の施設・設備

麻生神社


はんや舞の舞台

湖畔レストラン

その名も「レストラン湖畔」。郷土食ではないが新しい名物として売り出し中なのが、瓦そば。


湖畔ログハウス

地酒と日帰り温泉

館内フロントでは八女の酒蔵が紹介されていた。

駐車場



 

マップ

現地案内マップ

ニッポン湖沼図鑑マップ

Googleマップ

マークした場所は駐車場、トイレ。