小諸発電所第一調整池、今井調整池。
水力発電設備だった兄弟ダムの片肺である旧小諸発電所第一調整池の崩壊事故を受けて、千曲川北岸の代替地で9年後に竣工したのが今井調整池。
3年後の1941年、正式に「小諸発電所第一調整池」の名を襲名。これによって新第一調整池と第二調整池は8kmも離れることになった。
旧第一調整池がダムタイプだったのに対し、この池は千曲川の中洲に造られた皿池タイプ。コンクリート完全護岸の五角形の形状で、西側に取水門が設けられている。
発電用の池としてはめずらしく、1995年に「来訪者から親しまれる」ことをコンセプトに駐車場、遊歩道が設けられた。この際に、野鳥を呼び込み環境保全するためヤシ繊維や古電柱を使った浮き島などが導入されるなど、エコロジー時代の風をいち早く体現した池でもあった。
ところで、おもしろいことに地元ではいつからかこの池を「杉の木貯水地」と呼ぶようになった。
事故を想起させる「第一」の名を遠ざけたい心理があったのか、単に親しみやすく土地勘のある名(池の東岸側の地名が「杉の木」)が自然定着したのかは不明だが、80年のあいだに三度も池の名が変遷している点は興味深い。
ただ、池を管理する東京電力の案内板には、小諸発電所第一調整池の名で通されている。
マークした場所は駐車場。