水辺遍路

実踏・日本の湖沼 8,050湖

須津湖(静岡県富士)

【すどこ。西の海】

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住宅地の路地奥にある小さな消防用水池なのだが・・。

湖周わずか100m! 日本一小さい「湖」の本命か?

県道から少し引っ込んだ古い住宅地。高さ1.9m制限の鉄道橋下をくぐり、かろうじてクルマ一台分の幅の路地を進んだ奥に、二段がさねのガードレールに覆われた半円形の小さな消防用水池が現れた。円周側を取り巻くように民家が立ちならび、直径部分の岸は小公園となっているだけの小空間だが、カーナビの地図には「須津湖」という立派な名前が表示されている。
池はコンクリートで固められ底が見えるほど浅い。ごろごろの石が転がった底を這うように鯉が群れて泳いでいた。
円周の一角に金属製のお立ち台があり、生け花が供えられている。まさかこんな浅い池で水難事故? 須津湖という立派な名前といい、なんともミステリアスな水辺だ。
その理由は古くから地域信仰だった富士講にある。富士五湖を含めた富士八海という八つの巡礼地のひとつが、ここ須津湖なのである。
水ごりの霊場だから、金属製のお立ち台は真面目に水垢離用? 毎年、水抜きをして大切にされているおかげか、つるんとした美しい水。
この一帯はかつて浮島ヶ原と呼ばれた広大な湿地帯で、大小の沼を浮かべていた。その中心にあたる沼がこの小さな消防用水池の前身。「西の海」という大きな沼が排水事業によって田畑や町として生まれ変わり、信仰の聖地として「須津湖」の名とともにかろうじて小さな池として残されたようだ。一方、西の海ではなく浮島沼の方を須津湖とする場合もある、と案内板には記されていた。
600mほど離れた町中にも、似た雰囲気の荒間の狐(Googleマップでは「荒岡の狐」と記載。誤記か?)という池がある。これは公園にあった案内板から知った。
須津湖は、ひとつの池を指す名称ではなく、八海を構成する富士五湖に匹敵させるよう、点在していた浮島沼群を総称して「湖(うみ)」としたとも考えられる。
富士講にかかわった八海巡礼のバリエーションには、琵琶湖、芦ノ湖、中禅寺湖など広域かつ壮大なスケールで八つを選んだ「外海」や、逆に一、二時間で歩ける猫額の地に八つの小池を配し、世界遺産の構成要素にもなった忍野八海がある。
いってみればミニチュアレプリカの方が世界遺産になってしまったが、八海めぐりの総本山をなすのは、この小池の方ともいえる。

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鯉の群れと公園。「荒間の狐」の記載もある。
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