水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

浸透実験池(千葉県木更津)

新日鉄浸透実験池、木更津フィッシュアイ。

古代魚フィッシュアイを思わせる廃墟の池。

高度成長期、海浜工業地帯に供給する工業用水確保のために、この池を中心に海水と淡水の浸透実験を四年間行なったものの、オイルショックによる経済減速もあって実験中止となった。
二重ドーナツ構造の池で、中央の池は深さが10mもあるという。簡単にいえば、地中からしみ出してくる海水を、中心池に導水した淡水の圧力で押し戻すウォーターカーテンを実現しようとしたのだ。実験がうまくいったあかつきには、海岸に巨大人造淡水湖を造ろうという壮大な構想だった。

人がなかなか近づけない干潟の先という場所がら、当時の姿がワイルドな状態で残されている。いつか産業遺産として認定される日が来るかもしれないが、今のところ訪れる人は廃墟マニアか野鳥観察に訪れる人がいるぐらい。
観光化されているわけではないので、アプローチはやや難しい。池から400mほどの道路ばたに遊歩道の入口があるが少々わかりにくく、訪問者用の駐車場もない。

奥にアクアラインが見える。湾に突き出した建物は、レストラン、潮干狩りもあるスパリゾート施設。
浸透実験池周辺の干潟は、豊かな自然のところどころに廃墟となった実験施設の遺構らしきものもある。

誰がいいだしたのか、宮藤官九郎脚本の『木更津キャッツアイ』をもじったのか、はたまた、クドカンの方がもじったのか、地図でみると古代魚の目のような池には「木更津フィッシュアイ」という愛称もある。



干潟のあちこちではカニの姿も。


干潟の中にたたずむ遺構


マークした場所は遊歩道入口。