【しんじゃいけ。深蛇池湿地帯植物群落】
紀淡海峡に浮かぶ友ヶ島(ともがしま)に二つある池のひとつで、沼を含めた湿地帯が「深蛇池湿地帯植物群落」として県の天然記念物に指定。
成因タイプは海跡湖であろう。山斜面の樹林帯とフラットな湿地帯とに明瞭な境界があり、湿原には淡水性と海水性の植物が同居している。
訪れた際は深蛇池方面への遊歩道が災害復旧対応待ちで通行止めになっていて、近づくことができなかった。
島の反対側にある蛇ヶ池で悪行を働いて役行者に調伏された大蛇が、こちらの池で深蛇大王という守護神になったという伝説もあるが、仏教の十六守護神のひとつ「深沙大将(しんじゃたいしょう)」と音が似ている。
地図上でも池は二つに分かれているが、地図では直線的な中堤に見える。航空写真では微妙に区切れ目が異なり、堤ではなく湿原によって隔てられる。
この点がいちばん気になったところだが、古い写真では地図上に示されたとおりの位置に人工のものと見られる堤がみられた。現在は崩れてなかば水没しているようだが、近づくことさえできれば痕跡は確認できそうである。
無人島の友ヶ島には戦時中の海上要塞が廃墟として残されており、天空の城ラピュタに迷い込んだような異次元体験ができる島としてSNSで話題になったこともあって若い観光客も多い。
和歌山市の加太港から疾走感がたまらない高速渡船で30分ほど。