【じゃがいけ。蛇池】
ラピュタの島にたたずむ大蛇伝説の池。
紀淡海峡に浮かぶ友ヶ島(ともがしま)に二つある池のひとつ。無人島の友ヶ島には戦時中の海上要塞が廃墟として残されており、天空の城ラピュタに迷い込んだような異次元体験ができる島としてSNSで話題になったこともあって若い観光客も多い。
二つの池は山をはさんで島の南北に離れているが、池名にはともに「蛇」の字が入る。
和歌山市の加太港から疾走感がたまらない高速渡船で30分ほど。島の桟橋に着くと、キャンプ場のような広場が迎えてくれる。そこの案内標識に「蛇池→」というものがあり、蛇ヶ池への方向を示している。
凶暴な大蛇がこの池を根城としていたが役行者に調伏されたとの伝説が残されている。笛を吹くと封じ込められた大蛇が暴れだすとも。
友ヶ島を訪れる観光客のおめあては、苔むした砲台跡めあてということもあって、池まで足をのばす人はほとんどいなかったが、池のほとりには芝生の広場もあり、のんびりと持参の昼飯をとることができて幸せなひとときだった。
それにしても不思議な池である。大蛇が棲んだというには全体的に浅すぎる気もするが、少し縦長の池の前後は海にはさまれ、左右には山が迫る。
成因は海跡湖のように思えるが水源は左右の山からの伏流水だろうか。明瞭な流入河川は見あたらない。生息する水生動植物や地下からの海水の浸透はないのかなど、素養があれば水の成分を調べてみたいものだ。
船は一日三便ほど。港の駐車場は有料。
最初は自転車を持ち込もうと思ったが、上陸してみると自転車で走れるような舗装路はなかったので、身軽に徒歩がいちばんだろう。
ラピュタ感のある島としては東京湾に浮かぶ猿島も人気。