水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

ひょうたん池(徳島県阿南)

石門公園。
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古来から阿波の名勝との呼び声たかく、両側からせり出す懸崖は、今にも池を閉ざそうとしている巨大な門のよう。その石門のすきまから垣間見えるのは、山に抱かれた里池と田畑と人の暮らし。まるでこの石門は、桃源郷を守りつづけてきた門兵さながらである。
ひょうたん形の下側にあたる池は木々と岩がせり出す厳しめの面立ち。池岸に取りつく道まで水面の上にオーバーハングしている。クルマのすれ違いは困難だ。
池の流れ出し部にはコンクリート製の余水吐がある。取水設備を確認するのを忘れてしまった。余水吐を流れ出た水が高さ4mの滝となって、さわやかな水音を滝壺に響かせている。「石門の滝」とも呼ばれ天然の滝と見まごうが、よく見ると石組みらしき構造。やはり人の手が加わり、里山を潤す溜め池の機能を担っているようだ。
石の門をくぐって奥へと進むと、ああっと息がもれた。なんと豊かな水辺の情景か。さっきの厳しい表情とは正反対の、ゆったりとした滋味が広がっている。
石門公園の名が冠せられてるが、公園といっても、みごとなまでに完全なる野池で、アクセス路は狭く、駐車スペースも一台分しかない。しかし、その手つかず感のある雰囲気は、近年では稀有な存在といえよう。
奥の広い池の方はヒシモが水面で揺れる。ライギョでも出てこないかとフロッグをキャスト。時間がゆっくり流れる。近くの桑野川も地元でははずせないバスリバーだそうだ。
池横にそびえる岩の露頭は、ロッククライミングのゲレンデにもなっている。また、池の流れ出しは高さ4mの小さな滝になっており、とも呼ばれる。

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石門の滝


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石門の下部分


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池の奥は盆地の中の、のどかな雰囲気


マークした場所に駐車スペース1台。