水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

世木ダム(京都府南丹)

せぎだむ。天若湖。

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天若湖の湖中にある取水堰にしか見えないが、見えている倍以上の高さの堰体が水面下に没している。

水没後も現役で稼働するレアダム。

地図で見るダム湖100選の天若湖は、日吉ダムを頭に見立てると、まるで巨大なオオサンショウウオが身をよじって歩いているようだ。その尻尾の付け根あたり、ダム湖の上流寄りに堰がある。
一見、背の低い取水堰にしか見えないが、そのじつ、高さ35mという立派なハイダムなのである。今や全貌の半分以上が水面下に没し、半水没ダムとなった。
ゲートこそすべて取り払われているものの堰体は依然として湖をしっかり堰き止め、堰体の上流側と下流側では水位が異なっている。発電は継続され、貯砂ダムの役割も担っており、水没しつつも、なお現役という律儀なダムで、こういう事例はめずらしい。

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天若湖はレンタルボートなどもあり、関西屈指のブラックバス釣りフィールド。ほか、マラソンやサイクリングのイベントや大会も行われ、道の駅、プール、バーベキュー場の施設も充実し、さまざまな老若男女を惹きつける国内トップクラスの水辺レジャースポットとして成功した。
世木ダムが現役を張っていたころは、ひっそりした発電ダムで、訪れる者は釣り人ぐらいだったことを考えると、隔世の感があろう。世木ダムの右岸側は近畿自然歩道の一部となっており、桜や紅葉のハイキングもいい。
なお、天若湖では本物のオオサンショウウオの生息も確認されている。

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事実上の船止めの堰となっている世木ダム。


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世木ダムの近くに立っていた案内板。

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