竜王が祀られたハート形の池
神津島にそびえるテーブルマウンテン・天上山は、標高500m台の広い山頂部に30もの小ピークや草原が火口湖が神の庭園のような異次元空間をかたちづくり、本土なら2千メートル以上の高山を思わせる植生や山の花が咲き乱れ、さながら「洋上のアルプス」の様相である。
不動池はテーブル状の山頂台地に象嵌され、この島の池のボスキャラ的なオーラをまとう一方、雨の多い時期以外は水がない状態になる。
池のまんなかに小さな島があり、クラカラ剣(不動明王が右手に持っている倶利伽羅剣のことか?)と石の竜王像が祀られているが、「むやみに祠に近づき中を見るべからず」という言い伝えもミステリアスだ。
龍神と池伝説
前浜港にある神木島の鳥居はこの不動池の方を向いているというが、むかし海上で妖怪に追いかけられた漁師が不動池の龍神に救われたという伝説にもとづく。かなり強力な龍神様のようだが、水が枯れていて大丈夫なのだろうか。水はなくとも島を取り囲むスギゴケ群落が、まるで蛇の大群が島に向かって一斉に這っているような異様な凄みがある。
池のかたわらの丘にある不動尊石像
池のかたわらには丘の上の不動尊像への小径の入口が。
不動池の設備
島と石橋、鳥居、石の祠
石で護岸され、竜王が祀られた島には古びた石橋がかかる。苔の群落がまるで島に向かって這い進む蛇の大群みたい
テーブル、ベンチ、トイレ
池畔にバイオトイレ、木製テーブル、ベンチ、案内板もあって池ごはんに最適。島特産の岩海苔をふんだんに使ったおにぎりの味が忘れがたい。
近くの展望所からの景観
不動池の角度からは式根島、新島、大島が直列する。伊豆諸島艦隊とでも呼びたくなる壮観さだ。