水辺遍路

訪れた全国1万1,300の池やダムを独自の視点で紹介

こうろく池(兵庫県沼島)

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島から渡船で渡る島に池が

淡路島から渡船で渡る沼島(ぬしま)。島の名が名だけにテンションが上がる。
島名の「沼」は国産みの神話に出てくる「天の沼矛」(あめのぬぼこ)に由来するというが、島とか国を生み出す壮大な神話なので、具体的に池の伝説などがあるわけではなかった。
それでも地図を見ると島の中央に周囲長400mほどの池があるではないか。これはぜひ会いたい。
が、島から渡る島だけあってそうおいそれと行けない。私にとって長くボスキャラのような池だった。

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淡路島から見た沼島


 

渡船は1日10便。往復千円弱。

1日10便の沼島汽船は南あわじの土生港から。渡航料金は往復で千円弱。プラス、クルマの場合は別途、駐車場代がかかる。

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沼島上陸

船旅はわずか10分ほど。ターミナルはなかなか立派。しかし一歩、ターミナルを出ると昭和ノスタルジアの世界。
道も港も民家もみな連続したスロープに混在していて、何という鷹揚さ。さすが国産みの島。しかし津波とか、大丈夫なんだろうか。

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案内板と港
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下船した人々はみな同じ方向へぞろぞろ


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沼島八幡神社


 

路地を水路伝いに進む

路地を進んで行く。同じ方向に歩いていた下船客が少しずつバラけていく。
メインストリート(?)は水路をまたいで南に向かっているが、池をめざす私は水路に沿って歩く。水路の先に、池がある。
メインストリートの先には井戸がある。

bunbun.hatenablog.com

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沼島の池に到着

港から歩くこと800m。水路の先に池が広がっていた。池畔には島の学校があり、吐き出し側はグラウンドで、ごついバルブ付きの鉄管が地面から突き出し、コンクリートと鉄骨で水門のような構えがある。ただ見たことのないタイプで、どのような運用がなされているのか分からない。
一方、池のインレット側はおのころ公園という小さな園地になっており、岸から数十メートルに渡ってヨシ群落が広がる。また左岸側に石積み護岸が見られた。
地元の中学生の調査によると、インレット側は畑、吐き出し側には水田があったようだ。昭和50年ごろの航空写真では池の北岸側に棚田が見える。今は荒廃して段々の面影も薄れている。
溜め池として造られたかどうかの肝心なことは書かれていなかったが、わずかな水田を潤していた可能性はある。
可能性といったのは、この池はどうも塩分が混じっている。コンクリート護岸に張り付いた貝類は海で見るタイプのものに似ている。昔は、フナ、コイ、ウナギ、メダカなどもいたそうだが、現場では特に魚影は確認できなかった。
池名も不思議。池に入水死した女性の名を池名に付けることは全国的に見られるが、こうろく池の場合、死んだのが子ども六人だったとか、こうろくさんだったといった説はあるが、確実なことはすでに不明らしい。
トイレあり。

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左は中学校。右が池。手前は水路


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水門と鉄管が見える。ポンプを使用? 利水しているのか。


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おのころ公園


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池の流れ込み側。池の左岸側は石積み護岸。


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水路の擁壁には海の貝がびっしり? 潮汐がここまで影響している?

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インレット側から見た池の全景


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マークした場所にトイレ。