【カンジンダム、カンジンダム自然公園】
世界初の地表湛水型地下ダム湖。
平成17年に竣工した、いわゆる地下ダムである。地下水を土中深くで堰き止める地下ダムは宮古島でいくつか見られるが、地下水を堰き止めつつ地表にも水を貯めるタイプの貯水池としては世界初の事例ということである。
それまでただ海に流れ出していた地下水を瀬戸際で堰き止め、山の中腹にある従来の溜め池（ヤンガーイチ池）にポンプで送水。送水は電力を使うことになるが、堰体上の太陽光発電所はそのためのものとも思われる。
池畔には18世紀初頭に農業の神を祀った際に植えられた五枝の松（国指定天然記念物）や、沖縄地方の井戸であるウフガー（産川）もあり、久米島を潤す貯水池の立地としてこの上ない。
また河川の流れ込み部には水質浄化のための滞留池とホタルが生育できるよう配慮された水路を経て池に接続しており、沖縄県天然記念物のクメジマボタルの貴重な生息地としてラムサール条約登録湿地にも選ばれているだけでなく、地域の継続的な努力で良好な自然環境が守られている池ということもあって、全国ため池100選にも選ばれている。
地元の小学生らがフナの放流も行ない、魅力ある池づくりの努力がなされているが、なぜか親水公園への入口はすべてフェンスとゲートで閉ざされていて、水辺に近づくことができず、遠巻きに池を眺めることしかできなかったのが残念だった。
カンジン貯水池の諸設備。
堰体はゲートで入ることができなかったが、太陽光発電所になっていた。ポンプで使う電力をまかなっているのだろうか。
池畔はあずまややボードウォークもあり親水公園化されているが、なぜかゲートやフェンスで封鎖されていて入ることができず、水ぎわに近づくことがかなわなかったことは残念である。
駐車場と案内板。周辺の名所など。
「五枝の松」側の駐車場と売店。
久米の五枝の松（天然記念物）
池畔に枝を這うように張りめぐらせたリュウキュウマツの古木は、国の天然記念物。
ウフガー（産川）
沖縄地方の井戸。カンジン貯水池のほとりにあるが、地下水を堰き止めるこのダムの立地が、まさに地下水豊富な場所であることの証しといえる。
池の南側の駐車場。
池畔にあった久米島でよく見られるタイプの家のようなお墓。
周辺の農地。
水田ではなくサトウキビ畑が広がっている。
空から見たカンジン貯水池。
