かみまがりいけ。
市街地の中にあって野鳥の楽園の様相の池。
堤の斜面に「足利義尚 鈎(まがり)の陣所跡」という室町時代の史跡がある。当時は沼沢地だったというので、池は近世になってからの築造であろう。
栗東の歴史民俗博物館の展示物の古絵図の解説に以下のような文言があった。(太字は筆者が施した)
<栗太郡下鈎村領内絵図 1 鋪 明治時代 館蔵(里内文庫No320-23) >
下鈎村では、主な用水を灰塚池(栗東市川辺)から取水していた。灰塚池は、川辺村とともに下鈎村からも人足を出して造成し、池浚えや堤普請は、下鈎村が当番を勤めていた。
また、池年貢として川辺村に米 1 石 6 斗余を納めていた。 明治時代に描かれた本図では、灰塚池から取水した用水が、下鈎の 3 つの集落に行き渡る様子が知られる。また、灰塚池以外にも、現在の上鈎池(栗東市上鈎)からも取水していたことが分かる。
「堤普請」「池年貢」など、池の受益者が負担するべき内容が記されていて大変興味深い。明治時代の話なのか、江戸時代の話なのか定かではないが、栗東の博物館に出向く価値はありそうだ。
池はフェンスで囲われており水ぎわに下りることはできないが、陣所跡から階段がついているので堤の上を散策することはできる。
それにしても、堤の上にあるあやしげなミニチュア風車は何なんだろう。