水辺遍路

訪れた全国1万1,100の池やダムを独自の視点で紹介

加田喜沼湿原の池塘(秋田県由利本荘)

かたきぬましつげん。
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田んぼに囲まれて、なぜかピートな湿原

氷河期からの泥炭層が浮き島のように水漬けで保存された湿原・・そんな、高山か極北の地にありそうな池塘を浮かべた光景が、標高にしてわずか30mの人里にたたずんでいる。
湿原を取り囲んでいるのは雲海や荒海ではなく、水田と河岸段丘。田植えの季節になれば、一面の水鏡の中に湿原が浮かびあがる。
この湿原を作り上げたのは、近くを流れる芋川と長い時間。気の遠くなるような時間の積層だ。もともとは芋川の河道だったので、いわば河跡湖の最後の姿。昭和初期まではもっと広大な沼地だったが、干拓によって多くが水田となった。
ホロムイソウなど貴重植物を含む60種の植物のほか、古生代の花粉が泥炭層に保存されていることから、学術研究の対象にもなっている。
水田と湿原の境界は軽トラ幅の「畦(あぜ)」だけ。通常、このような立地では貴重植物に農薬の影響が出そうなだけに、地元の努力が推察される。
環境省の「日本の重要湿地500」、市指定天然記念物に指定されているほか、「長坂(ながさか)」の登録名で「守りたい秋田の里地里山50」に認定。これは令和二年に50登録地が出そろった新しいセレクション。
湿原内は立入禁止。
道路わきに湿原に下る入口があり、ここからの眺めがよい。道をはさんで入口の反対側に駐車場あり。

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道から階段を下れば、もうそこは湿原
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軽トラが出ているところが駐車場入口。下は駐車場と案内板
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マークした場所は駐車場。