水辺遍路

訪れた全国1万1,450の池やダムを独自の視点で紹介

磯野池(神奈川県大磯)

【いそのいけ / 磯の池】

高麗山の中腹にたたずむパラダイス池もついに・・

磯野池は数少ない湘南平の野釣り池として2020年ごろまで活況を呈した農業用ため池。大磯町産業観光課が所管する。
2022年にコメント欄に警察沙汰の事件があったことを受けて釣り場としては閉鎖になったとの情報を寄せていただき、2024年1月に現地再訪したところ、フェンスゲートで完全閉鎖された状態の磯野池を確認した。
池を見ることもできない状態はあまりにひどい変わりようで、しばし唖然とした。池に罪はないのに草ぼうぼうの堰体を見ると、ただただ悲しい。


 

動画


 

磯野池の地形(空撮)

高麗山の山腹にひっそりとたたずむ磯野池。



 

釣り場だったころの磯野池

ついに地図に記載された、かつての隠れ楽園(2017年)

大磯の野池群の筆頭格ながら、かつては会員制の閉鎖的な池として一般には存在が謎めいていた磯野池。
もう10年前になろうか。地図を見ながらオートバイであてもなく探索していたときに、たまたまこの池にたどり着いたときの感動は今なお鮮やかだ。暑い日だったが、まるでドームのように池を取り囲む山林が陽射しと風を遮り、水面はさざ波もなく、ときおり釣り人と魚が立てる音が響くばかり。
冬は冬で頭上の梢をごうごうと揺らして木枯らしが吹いていても、水面は静か。ぽっかり切り取られたような空が青い。



マディーな状態の磯野池(2018年)



磯野池取水設備(2017年)

現役の溜め池である証。取水するための斜樋もしっかり手入れされている。

堰体上の移動式釣り台(2014年)

磯野池は丘陵を縫う1.5車線の道から分岐するガレた山道を少し上った先にある。すっぽりと覆われるように森林に囲まれた池に釣り人が竿を並べる光景は、まさに隠れた楽園の様相だ。かつては「磯の池」という字をあてた例が一般的だったように思うが、最近、Googleマップでも「磯野池」として明記されるようになった。

減水した磯野池(2013年)

2013年の6月には著しい減水が見られた。雨後は強く濁る。
へらぶな師は堰堤に移動式釣り台を使い、かたまって釣りをしていた。
食いが渋いといいつつ、5分ごとに誰かが竿を絞るといった具合だった。
ギルは多いが、見えバスは25cm程度の小バスを1尾確認できた程度。


2013年、イノシシ注意の看板が現れた

晩秋の磯野池(2011年)

2011年に釣りをしている人に訊ねてみたところ、へらぶなの放流もなされており、会員制は解除されたものの時期によっては放流資金への協力を求められることもあるとのことだった。
コンクリート護岸の堰体部には水位の変化に対応する移動式の釣り台が数基置かれているほか、10人ほど入れそうな釣り桟橋、数人程度の小ぶりな釣り台が設置されており、よく手入れされている。対岸側にも釣り台があるがそちらは朽ちている。(2011年12月)

ヘラブナ釣り師カブが並ぶ池の前(2011年)

その後、大磯町観光経済課が作った看板が立てられたことからしても、ある程度、観光要素として考えられているようだ。とはいっても池へ登る未舗装のアプローチ路は雨が降ればどろどろ、冬期は凍結し、入口には目印や看板はなく、注意していないと見落としてしまう。
堰体下に数台の駐車スペースがあるが、平日でも常連釣り師のクルマで埋まることが多く、オートバイ専用駐輪場所には、へらぶな釣り仕様のカブが並ぶ。



 

アクセス路入口は分かりにくい

アクセスルートは分かりにくい。国道1号側からだと、狭い住宅地を抜けなければならないので注意。畑の中の1.5車線道のかたわらに磯野池に登る未舗装林道があるが、ここも看板や目印などがなく見落としやすい。
温暖な大磯であるが冬場にはアプローチ路が凍結することもある。
アプローチ路のどんづまりに転回スペースがあり、地元常連釣り師はここに駐車をしている。釣り人が多いときにはアプローチ路にまで車列があふれ、こうなると大きいクルマだとバックで戻るしかない。
2018年3月に、アプローチ路が荒れて車両通行ができない状態になり、入口のところで大磯町によって通行規制がしかれていた。

1.5車線道路と磯野池アプローチ路(2018年空撮)


道が荒れアプローチ路が通行止めになった2018年3月


このようにアプローチ路が凍結すると二駆だと厳しい場合も(2017年2月)



 

Googleマップ

マークした場所はアクセス路入口。