【ほうまんのいけ / 宝満池】
種子島でははずせないパワースポット池
周囲長1kmクラス(1,230m)の堂々たる風格をもった天然湖で、種子島で最大の淡水池。
地形や地理的な特殊性から歴史、伝説、信仰といった池文化に至るまで申し分なく、「ニッポン島池百選」を選ぶなら、まず、はずすことはできない存在。島ジャンルをはずした「日本百名池」でも、かなり有力な候補になろう。しかし名こそ「池」だけど形態としては「湖」になっちゃうかもなあ・・、と悩ましいところ。
日本三大「カモ猟」の池
江戸時代前期から続く伝統的な「突き網猟」というスタイルでのカモ猟場として鹿児島県の無形民俗文化財に。全国で他にこの猟法が行われている池は、片野鴨池(石川県加賀)と巨田の大池(宮崎県佐土原)だけ。鴨池と巨田池はいずれも全国ため池百選のタイトルホルダーでもある。ということは天然湖沼では、宝満の池が日本唯一ということに。
なお、鴨池では「坂網猟」、巨田池では「鴨網猟」と呼称は異なるが、朝夕に出勤するカモを大型の網で待ち受けるスタイルが共通している。カモ猟と池との関係は深く、皇室が来賓を迎える際に使われる埼玉鴨場のような、カモ猟に特化した専用池もある。(下リンク参照)
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池畔の宝満神社と、池伝説
宝満神社の参道
池へのアプローチ路は宝満神社の参道となっている。御神木のナギの木は枝ぶりが何ともいえない。随所に見られる石垣は種子島では聖なる力を持つとされる珊瑚石(珊瑚垣)。
謎の石造物
境内には、もとは何の形をしていたか分からない謎の石像のようなものが鎮座。
等身大ぐらいの衣類を着た人物の膝から下だけが残ったもののようにも見える。
宝満様と宝満伝説
玉依姫にまつわる宝満伝説には、田を潤すために池から水を引こうと水路を掘削しようとすることが契機となる。
池の手前に最後の関門として立ち塞がる大岩。これを切り崩そうとしたところ、岩から血が噴き出て大蛇がまろび出る。このあたり赤米との関係はあるのだろうか。
さて池ヌシの怒りを鎮めんと連日の祈祷、十七日目に慈雨が降り田を潤す。けっきょく水路はできたのか?
また、水路は谷に沿って造ったはずで、今の参道がそれにあたる?
メンコー、ガラッパといった妖怪の目撃譚も。
今後も調査は継続。
赤米の資料館
日本に残る赤米の産地は、ここを含め三ヶ所しかないのだという。赤米は日本のコメのルーツ。なんだかすごい池に来てしまった。
赤米のお田植え祭りという神事は毎年4月初めに開催。
宝満の池の成因・形態
海跡湖(潟湖)
成因別の湖沼タイプとしては海跡湖(潟湖)。
水深6mの「湖」
湖周長1,230m、最大水深は6m。形態としては池というより湖。
湖岸は流れ込み部がなだらかな草岸だが明瞭な流入河川はみとめられず。連続して神社側が小さな汀(ビーチ)状になっており、それ以外の岸は急崖に取り囲まれている。
全景
南岸側から。
北岸バックウォーター
なだらかな草原状になっている。
東岸神社側ビーチ
白砂の砂浜になっている。
東岸のドーム丘
丸いドームのような丘が迫り出している。水ぎわは垂直岩盤。
西岸の岬
特徴的な岩岸が岬状に。
展望台と遊歩道
西岸側の高台を通る舗装道路沿いに、池の展望所がある。ただしここから池に下ることはできない。
池の汀へは宝満神社参道から。左に分岐すると南岸高台の展望所へと歩いて行ける遊歩道がある。
動植物
オニバス、ヒシモが自生
夏は湖面が蓮の白い花で覆われるということだったが、訪れた2022年3月にはオープンウォーターが広がっていた。
過去の写真では西岸側に大きなハス群落があったが、訪問時にはそれらしき痕跡は見られなかった。
ヘラブナ放流?
1970年代に種子島にへらぶなが放流されたとの記録あり。ほか、鯉。
カモの越冬池
冬季は数百羽のカモが飛来。
マガモ、コガモ、オナガカモ。
地図
種子島の池さんぽマップ
ver2.0 2022
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