【おだちだむ / 荒川ダム】
島唯一の民間ダムが、島の全電力を支える
世界遺産・屋久島といえば古代杉の巨木と登山で海外からも多くの観光客がやって来る。
年間降水量8千ミリ。2000m級の九州最高峰・宮之浦岳を有し、島の平均標高は600m。滝と川が毛細血管のように島を覆い、超軟水の豊富な水に恵まれる。そんな島の観光や生活を支える電力が一つのダムによって賄われていると聞いて驚いた。
この尾立ダム(別名・荒川ダム)は日本で唯一、炭化ケイ素を製造する屋久島電工という地元企業によって所有管理されているアーチダム。
屋久島の農業、工業、一般家庭で使われる電力は、このダムを中核とした水力発電によって供給されている。
会社によると民生電力を供給する義務はないものの、島への地域貢献の理念のもと安定供給に努めてきたとのこと。家庭への電力の直接販売はしていないが、九州電力に売電する形式がとられているようだ。
水力発電だけで大丈夫?
いくら屋久島が降水量が多く、平均標高が高い水力発電向きの島とはいえ、たった一基のダムで島の全産業、家庭が使う電力を安定的に賄えるのだろうか疑問だった。
そのことを島の人に訊ねてみると、先日もダムの水がだいぶ少なくなっていたものの、一日降ればいっぱいになる、と言っていた。それでも水力発電に足りなくなった時のために、屋久島電工が火力発電所を持っているということだった。
登山シーズンはマイカーでのアクセスはできない
ダム下の林道終点に荒川登山口があるため、ダムまではクルマも通れる道が通じているが、残り3kmの荒川分れという分岐点から先は3月1日から11月30日までの間はマイカー・レンタカー規制。タクシーやシャトルバスは通行可能。
マークした場所は駐車場。